のとルネアンバサダー、イベント担当るっちです。
寒い冬になる頃、白装束の3人が「うっとりべー」と声を発しながら七尾から羽咋へ歩いて向かいます。
七尾の人は、一年に一回の風物詩として目にしています。
これは、国指定重要無形民俗文化財「「鵜祭り」のはじまりです。
古い形式の神事形態を残している全国でも珍しい祭礼です。
※2022年は残念ながら捕獲できませんでしたが、2023年は12月11日に無事、鵜様が捕れました!2年ぶりに鵜様をともなった鵜祭りが開催されます。
2023年の鵜様道中は、12月12日朝6時半頃、七尾市鵜浦町を出発します。
以下の記事は、2021年、3年ぶりに行われた鵜様道中の様子です。出発に密着した様子も合わせてお伝えしますね。
Contents
国指定重要無形民俗文化財「鵜祭り」とは
全国でも類を見ない奇祭「鵜祭り」について。
七尾市の中でも崎山半島という七尾市の端っこに鵜浦(うのうら)町があります。
その鵜浦町の鹿渡島という地区にある断崖絶壁の鵜捕崖で、一子相伝の技で鵜が捕獲されます。
町名にもなっている「鵜」。
捕獲された鵜は「鵜様(うさま)」と呼ばれます。
この地区には伝説があります。
神の時代、大国主神(おおくにぬしのみこと)が初めて七尾市鵜浦町の鹿渡島に辿り着いた際、同地の御門主比古神が鵜を捕らえて捧げた、
また、同地の櫛八玉神が鵜に化身した、などの諸説があります。
大国主神は、能登一宮である気多大社(羽咋市)の祭神です。
由来はあきらかではないのですが、この故事により、この地で鵜を捕り、羽咋市にある気多大社までお運びし、気多大社で鵜様による占事をしたのちに鵜様を放つことを「鵜祭り」としているとのことです。
気多大社まで運ばれた鵜様は、未明に神事として神前にあがり、鵜様の動きを神職が見て翌年の吉凶を占います。
一子相伝の鵜捕り
鵜を捕獲するのは、この地区の「小西家」という一軒の家で、一子相伝された方のみです。
一子相伝ですので、捕獲技の記録はありません。
鵜を捕獲する崖はこの地区にある美しい海に面した崖です。
夏に、この地区の海の様子を船から撮りました。
このあたりが鵜を捕る崖だとされています。
この地区の美しい観光スポット、観音埼灯台のふもとです。
夏の写真です。とても、とても美しい海でした。
どこか、このあたりの崖で鵜様が捕れるのかなぁと思い眺めていました。
3年ぶりとなる鵜様の捕獲
自然の鵜を捕獲するので、鵜は毎年捕れるとは限りません。
2021年、3年ぶりに鵜が捕れたという知らせに、地元民は沸き立ちました。
ここ2年、新型感染症により辛い時期が続きました。
しかし、今年は無事に捕ることが出来、鵜祭りが開催されることとなりました。
風物詩が復活し神事が行われることに、地元の方はとても安心したことと思います。
12月12日、鵜様道中のはじまり
捕獲された鵜様は、毎年12月12日に気多大社へと向かいます。
12月12日というこの日は、必ず決まっています。
鵜様を気多大社までお運びするのは、この地区で「鵜捕部(うとりべ)」とよばれる役目の20人のうちの3人です。
20人のうち、年ごとに交代でお運びする役目がまわってくるそうです。
およそ7年毎にお役目がくるそうです。
鵜捕部とは
鵜捕部、は「うとりべ」と読みます。
~部は、今でいう「省庁」です。
鵜を捕る部、という、国から与えられた部門の名称なのですね。
今年の「鵜捕部」は、鵜浦町鹿渡島のさらに「端堀畑(はなほりばた)」という地区に住む、
岩崎さん、小森さん、湯口さんです。
主任の位置にある岩崎巌さんは、なんと88歳です!
お役目として、七尾から羽咋まで40キロの道のりを歩くのです。
岩崎家に鵜様がいらっしゃいます。
鵜様が入る籠も、鵜捕部によって作られるそうです。
12月12日の早朝。
まだ出発前の鵜様を拝みに、近所の方々が続々と訪れます。
隙間から、鵜様を拝見しましたよ・・・。
元気で、時々籠の中でバタン!バタン!と動く様子が見られました。
鵜様道中、出発
いよいよ、鵜様が気多大社に向かうべく出発されます。
鵜捕部の中で一番若い、小森さんが鵜様を担ぎます。
鵜捕部の三人です。
真っ白な装束に緊張の面持ちです。
三人のお姿を神聖に感じ、拝みました。
「うっとりべー」と発しながら、歩き始めます。
道行く近所の方々も、鵜捕部が通ると次々に拝んでいます。
出発の時間はこの日は6時半でした。鹿渡島の海はまだ暗かったです。
細い路地を、鵜捕部が進みます。
途中、「おみやかし」といわれる賽銭を鵜捕部にお渡しする方々が見られます。
まずは、七尾市街へすすみます。
鵜様道中の予定
12日 鵜浦町を出発 七尾市内をすすみ七尾市内の旅館で宿泊
13日 七尾市の本宮神社にて新嘗祭ののち、中能登町の「鵜家」家まですすみます。
14日 羽咋市の気多大社に到着
16日未明 3時頃だそうです。気多大社にて神事が行われ、吉凶が占われたのち、一ノ宮海岸で放たれます。
気多本宮神社で新嘗祭
12日に出発した鵜様道中は、13日、七尾市所口町にある気多本宮神社に到着しました。
この日気多本宮神社では新嘗祭が執り行われました。
新嘗祭の様子の貴重な写真は、
ボランティアガイドはろうななおでご活躍の佐野藤博さんより写真を頂戴いたしました。
ご協力に感謝いたします。
新嘗祭ののち、鵜様道中はこの日の宿である中能登町の鵜家家へ向かいます。
羽咋市の気多大社での鵜祭り神事は16日未明より。
来年の吉凶はどうでるのでしょうか?!
鵜様道中の無事を祈り、拝ませていただきました。
能登にはこういった貴重な伝統や風習が廃れずに残っています。
鵜様道中は、長年先人の思いとともにと受け継がれています。
この先も残していきたい、国の大事な民俗文化です。
【鵜様道中】
出発は七尾市鵜浦町
観音埼灯台や観音島のある地区です。
写真協力をいただいた佐野藤博さんが活躍する「ボランティアガイドはろうななお」については以下のリンクをご覧くださいね。