のとルネスペシャルアンバサダーの山崎至です。
映画の撮影でお世話になった、輪島塗の見学、沈金・蒔絵体験ができる輪島工房長屋をご紹介します。
こちらでは、漆製品の修理も行っているそうです。
Contents
- 1 輪島長屋工房は輪島朝市から徒歩3分、道の駅輪島から徒歩10分
- 2 5つの建物、9つの工房
- 3 体験工房
- 4 輪島塗体験メニュー
- 5 My箸体験、輪島工房長屋の体験のこだわり
- 6 体験の時間制限なし!
- 7 体験スペース
- 8 My箸づくり・沈金の流れ
- 9 体験料金
- 10 修理工房 輪島塗の修理&リメイクのご相談
- 11 愛着や思い出はプライスレス
- 12 輪島塗の修理(なおしもん)の歴史
- 13 修理品の最後の砦!なおしもんの駆け込み寺!
- 14 修理の腕の確かさと丁寧な対応で輪島塗の需要拡大!
- 15 SDGsの教科書にも登場のなおしもん
- 16 職人工房
- 17 輪産物工房
- 18 漆器工房
- 19 塗工房
- 20 木地工房
- 21 亜仁恵瑠
- 22 情報工房
- 23 石川県民の誇り「輪島塗」を実感!
輪島長屋工房は輪島朝市から徒歩3分、道の駅輪島から徒歩10分
輪島工房長屋は輪島朝市の駐車場9番ゲートからすぐ、道の駅輪島からも徒歩圏内にあります。
輪島塗の木地づくりから始まり、漆塗り、輪産物、漆器や体験などの各工房が集まった新たな交流施設として、平成15年に建設されました。
この長屋は、昔この場所に実際に存在し、輪島塗の職人さんや、地場産業に携わる人々で活気にあふれていた長屋、「山吹長屋・矢花長屋」を再現を目指したものだそうです。
5つの建物、9つの工房
工房長屋には、5つの建物があり、それぞれにいくつかの工房が入っています。
日頃、お箸やお椀を何気なく使うことはありますが、輪島塗がどのようにつくられるのかなど考えたこともなかったのですが、
ここへきて、工房を巡りながら、それぞれの職人さんの仕事を見たり、お話を聞かせていただいたり、実際に触れたりすると、
あまり身近でなかった漆に、なんとなく親しみやありがたみが涌いてくるのが不思議でした。
体験工房
こちらでは、実際に輪島塗の体験をすることができます。
職人さんのお仕事を見ていて、自分でもやってみたくなる方も多いのではないでしょうか?
そんな時、この工房長屋では、こちらに来ればすぐに体験ができるので便利です。
中に入ると、正面のカウンターや棚に飾られている輪島塗の器が目に飛び込んできます。
特に朱色の漆の輝きの美しさには一瞬で目を奪われました。
右手の棚には、著名人の方のサイン代わりと思われる作品が飾られていました。
輪島出身で朝市通りに記念館もある永井豪先生の自画像らしい作品もあります。
ちなみに永井豪記念館はこちらから歩いて5分ほどです。
輪島塗体験メニュー
沈金(パネル/箸)か蒔絵(箸)から選んで体験できます。
僕が伺った日も、平日でしたが次々と体験希望の方がこられていました。
蒔絵は漆をあつかうので、かぶれるのが心配だったり、乾いてから後日発送になるので届くまで時間がかかるからか、
この日も沈金体験が人気のようでした。
メニューもしっかり輪島塗です。
My箸体験、輪島工房長屋の体験のこだわり
こちらの工房で使用する体験用のお箸は、お箸の断面まで確認した上質の輪島塗箸だそうです。
黒塗と溜塗の上品な2色が用意されています。
体験の時間制限なし!
体験時間は約1時間とありますが、これは最低このくらいはかかるだろうという目安のようです。実際体験時間に制限はありません。
営業時間内であればじっくり、それこそ職人さんのように黙々と、納得いくまで絵付けができます。
スタッフの方も、最初にやり方を丁寧に教えてくださいますが、そのあとは、いい感じで放っておいてくださいます。
もちろん、わからないことがあれば、声をかければ優しく答えてくださいます。
お一人でじっくり体験したい方も、お仲間とワイワイ楽しく体験したい方も、それぞれご自身のお好みのスタイルで体験できます。
体験スペース
手前には、床に腰を下ろして体験するタイプのスペースがあり、
奥には椅子に座って体験できるスペースがあります。
ご自身でやりやすい方を選んでいただけます。
My箸づくり・沈金の流れ
沈金は漆の表面を彫り、溝に漆を埋めて金粉を沈める技法です。
My箸づくり体験では、輪島塗箸に針ノミで模様を彫り溝に金粉を沈めます。
実際の流れをご紹介します。(画像は輪島工房長屋提供)
①箸を選ぶ。黒塗と溜塗の二色から選んでいただけます。
②彫りの練習。練習用パネルを使って試し彫りができます。
③素彫り。細かい模様もかけるので、センスの見せ所!こだわりたい方にも人気です。
④漆引き。模様を彫った後に漆を少々使用します。かぶれなどが心配な方はスタッフの方が対応してくださいます。
⑤漆をふき取り
⑥金粉入れ
⑦仕上げ
⑧完成
完成後そのままお持ち帰り頂けますので、ご家族へのお土産にも人気です。
体験料金
●沈金体験(パネル) 漆のパネルに沈金で絵付けをします。
平らな面に彫るのでお子様にもおすすめ!夏休みの宿題にも人気だそうです。
体験時間 1時間半~2時間半(制限はありません)
料金 大人 ¥2,500 高校生以下 ¥2,000
サイズ 12cm×13.5cm
お渡し 当日お持ち帰りいただけます
ご予約 3名様から受付 同時に40名様まで可能 10名様以上は要予約
●My箸づくり沈金(金)(彩) 輪島塗箸に針ノミで模様を彫り溝に金粉やメタリックパウダーを沈めます。
料金 1膳 ¥1,500
体験時間 20分~1時間
サイズ 箸の長さ 黒22.5cm、溜21.5cm
お渡し 当日お持ち帰りいただけます
ご予約 (金)同時に40名様まで可能 (彩)最大15名様まで可能 いずれも10名様以上は要予約
●My箸づくり蒔絵 筆に漆を付けて模様を描き、漆の上に粉を蒔いて仕上げます
料金 1膳 ¥1700
体験時間 20分~1時間
サイズ 箸の長さ 黒22.5cm、溜21.5cm
ご予約 10名様以上要予約 最大15名様まで
お渡し 漆の乾燥に時間がかかる為、約10日後頃のお届けとなります
(漆の乾き具合により多少前後する場合があります)
修理工房 輪島塗の修理&リメイクのご相談
輪島塗は傷や傷み、割れ、欠け等があっても修理、修復して半永久的に使えるそうです。
先祖代々使っている器などというものも少なくないそうです。
たしかに、TVの有名な鑑定番組で、古い輪島塗が、すごい評価額になっているのを見て驚いた記憶もあります。
職人工房で見学するとわかりますが、輪島塗には細かい工程が100以上もあり、その工程のどこまで遡るかによって、修理費用やかかる日数が決まるそうです。
例えば、10年以上使い続けた汁椀の内側のひびの修理だと、
ひびに漆をしっかり吸い込ませ固めたうえで、欠けがあればそれも直し、
平らに磨き上げたうえで、きれいに塗りなおすなどの2か月かかる行程で、修理費が3000円。
これでまた10年使えるようになるそうです。
全て職人さんの熟練の技と考えると…決して高いとは言えない、むしろこんなに安くて大丈夫?と心配になる金額ではないでしょうか?
職人さんたちの、輪島塗への想いがあればこそだなと思わせていただいたお話でした。
また、修理だけでなく、模様や色を変えるなどのリメイクも可能だそうです。
愛着や思い出はプライスレス
もともと、完成までにおそろしく手間のかかる輪島塗は決して安くはないものです。さらに、修理を重ね、大事に先祖代々使い続けた漆器となると、その愛着や思い出がプラスされ、もはや値段など付けられないものになってしまうようです。
実際こちらに修理を依頼される漆器には、内心「新品に買い替えた方がはるかに安上がりなのに…」と思ってしまうものも少なくないらしく…。
もちろん、職人さんたちは、そんな依頼人さんの気持ちをしっかり受け止めて、精一杯の仕事をしてくださるそうです。
輪島塗の修理(なおしもん)の歴史
昔、輪島塗の販売業者である塗師屋さんたちは、毎年、漁業や農業の仕事が終わる秋頃に、輪島塗の漆器を持って、自分の担当の宿場町へ売り歩きに行ったそうです。
その際、漆器を売るだけではなく、以前売った漆器の状態を確認し、傷みのある漆器は持ち帰り修理をしたそうです。
その持ち帰った漆器を輪島では「なおしもん」と呼んでいました。
その「なおしもん」は輪島できれいに修理され、また翌年の秋、宿場町へ納められるということを繰り返していたようです。
この漆器を大切に使い続けるための「なおしもん」のシステムが、輪島塗のすばらしさを全国へ広げるきっかけの一つになったのかもしれませんね。
修理品の最後の砦!なおしもんの駆け込み寺!
輪島工房長屋では輪島塗はもとより、それ以外のたくさんの工芸品の修理依頼を受けているそうです。
通常他の修理屋さんでは、その産地のものだけの修理を受けるそうですが、
こちらの修理工房では、全国各地の漆器の修繕だけではなく、さらに陶器や磁器の金継ぎ等の修理も行えるそうです。
これまでで一番大変だった修理は何かと聞いてみたところ、
運ぶだけでも大変な大きなテーブルや、壺が手強かったと答えてくださいました。
どこにも引き受けてもらえなくて、最後の頼みの綱として依頼されてくる方も少なくないらしく、
できる限りのことはやってみるというスタンスで引き受けられるそうです。
まさに、職人の確かな技と心意気のなせる究極の「なおしもん」ですね。
お見積もりは無料でしてくださるそうですので、捨てられないけどこのままじゃ使えない…
そんな工芸品がありましたら、こちらの修理工房に気軽に問い合わせてみてはいかがでしょう。
修理やリメイクなど、ご希望に沿った仕上がりになるよう、いろいろ親切に相談に乗っていただけそうです。
修理の腕の確かさと丁寧な対応で輪島塗の需要拡大!
こちらの修理工房では、漆器の販売だけではなく、修理の依頼を新しい漆器の需要ととらえて、
かつて「なおしもん」が輪島塗の信用と人気を築いたように、
丁寧な修理の対応が輪島塗の信用度を上げ、さらなる需要拡大につながると考えて努力されているそうです。
その成果として、すでに他県の指定文化財クラスの貴重な漆工品の修理依頼や問い合わせが来ているそうです。
SDGsの教科書にも登場のなおしもん
この輪島塗の「なおしもん」は、生徒さんが、「持続可能な世界を実現する17のゴール」を自分のこととして考えるための教科書の題材としても取り上げられています。
長い間、修理して使い続けるこの輪島塗を通して、消費するだけではない物との関わり方を考えることができるという理由からのようです。
SDGsといえば、実際輪島塗で作られた17色のバッジを見たことがあります。
その時は、きれいだなくらいにしか思えませんでしたが、
今やっと、ただきれいだから輪島塗で作ったわけではないということがわかりました。
職人工房
輪島塗の職人や作家をめざして修行を続けている方々を支援する工房だそうで、暖簾が出ている工房には職人さんがいらっしゃるそうです。
タイミングが合えば、職人さんが熱心に作業をする姿が見られたり、直接お話しすることもできるかもしれません。
職人工房 営業時間 10:00~16:00
輪産物工房
漁師の店「こだわり」は閉店されました。
漆器工房
こちらでは、3店の漆器店の商品がご覧いただけます。
お気に入りの品が見つかるとよいですよね。
●藤八屋 工房長屋店
TEL 0768-23-1088
●坂本漆器店
TEL 0768-23-1755
●あいよもさ
TEL 0768-23-0303
塗工房
輪島塗をの最後の仕上げを行うところです。最大の敵はチリや埃なので、窓越しにしか見学できませんが、何層にも塗り重ねることで生まれる輪島塗の丈夫さの秘密を、静かにご覧ください。
ちなみに。上塗で使用する刷毛は人間の髪の毛だそうです。(画像は輪島工房長屋提供)
木地工房
「本堅地(ほんかたじ)」と呼ばれる輪島塗の特徴的な下地塗作業をご覧いただけます。
また、全国から依頼を受ける漆器の修理作業もこちらで行われています。(画像は輪島工房長屋提供)
亜仁恵瑠
Digital Wajima ギャラリーとして、輪島塗職人の技のみろくを発信するWEBサイト「Dijital Wajima」で紹介されている職人さんの作品の展示、販売が行われています。
作業実演をされている日もあるそうですので、ぜひお立ち寄りください。
情報工房
輪島工房長屋の窓口となります。輪島塗に関してわからない事、知りたいことはまずこちらでスタッフの方にお尋ねください。
輪島塗の工程の紹介もお願いできます。
石川県民の誇り「輪島塗」を実感!
これまでも、「石川県では輪島塗が有名です」と他県の方に自慢はしていましたが、
今回初めて輪島塗について詳しく学ばせていただき、
改めて、本当に誇るべきものだということを実感させていただきました。
これから、お箸やお椀を使うときに、少し、輪島塗をささえる皆さんの努力に思いをはせながらありがたく使えるような気がします。
輪島塗を購入される際には、工房長屋にお立ちより頂くとお気に入りの一品を見つけやすくなるかもしれません。
他にも近くに輪島塗のことがわかる施設がありますので、あわせてご見学ください。
こちらのお得なパスについても、輪島工房長屋でお申込みいただけます。
【輪島工房長屋 施設情報】
住所 輪島市河井町4-66-1
営業時間 9:00~17:00 ※体験受付は15:30まで
定休日 毎週水曜日
入場料 無料
お問い合わせ 0768-23-0011