初日レポート!「絵師も動物も、人気モノ勢揃い 動物たちの浮世絵展」【石川県七尾美術館】

のとルネアンバサダー、イベント担当るっちです。

毎回おもしろいテーマを取り上げて観覧者を楽しませる能登唯一の総合美術館・石川県七尾美術館。

夏の特別展として、「動物たちの浮世絵展」が国内巡回展のスタートを飾ります。

2023年7月30日、開会式がありました。

この浮世絵展は、ただの浮世絵展ではありませんよ。

何度も観に行きたくなる「動物たちの浮世絵展」をご紹介します。

「動物たちの浮世絵展」会期は?

「絵師も動物も、人気モノ勢揃い 動物たちの浮世絵展」

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石川県七尾美術館

会期 :2023年7月30日(日)~9月18日(月.祝)
開館時間: 9:00~17:00 (入館は16:30まで)
休館日 :会期中無休
観覧料:・一般800円(700円)
・大学生350円(300円)
・高校生以下無料
※( )は20名以上の団体料金。
※「国民の祝日」は70歳以上の方は団体料金になります。受付にて年齢確認ができるもの(保険証・運転免許証など)をご提示ください。
※障がい者手帳をお持ちの方と、付き添いの方1名様まで無料になります。(ミライロIDも可)
※大学生・高校生の方は学生証を受付でご提示ください。
※専門学校生の方は一般料金になります。

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夏休み中に美術鑑賞を

1か月半と長めの会期となります。

内容は子どもでも十分楽しむことができるものですので、夏休み中に親子でゆっくり観に行けますね!

「動物たちの浮世絵展」開会式

開催日初日、監修者の中右先生をお招きし開会式が行われました。

監修者:中右先生による作品説明

開会式の後、国際浮世絵学会常任理事であり監修者の中右瑛先生による作品説明がありました。

ひとつひとつの浮世絵の説明から、その時代の社会情勢、人々の暮らしぶり、流行り物など当時の風俗がわかります。

中右先生の楽しい説明で、浮世絵ってこんなに面白いものだったんだ!と感じる方が多かったと思います。

たくさんの浮世絵があり、それぞれ興味深い話をお聞きできました。

浮世絵とは?

まず、浮世絵とはどんな絵なのでしょう?

浮世絵とは、江戸時代から大正時代にかけて描かれた、風俗を描いた絵画(木版画)のことです。

浮世絵は、庶民の生活や流行をテーマにした絵画で、テレビもラジオも無い時代の情報源は浮世絵だったといっても過言ではありません。

美人画、風景画、風刺画、文明開化の新風俗を世に伝える開化絵、錦織のように美しい多色刷版画の錦絵などがあり、当時の人々の楽しみとなっていました。

喜多川 歌麿の浮世絵

本展では、浮世絵の黄金期を築いた人気絵師・ 喜多川 歌麿の作品も展示されています。

2021年秋、石川県七尾美術館では「黄金期の浮世絵 歌麿とその時代展」が開催予定でした。

しかしコロナ禍のため開催直前に中止となり、多くのファンが残念に思ったことがありました。

当時観覧することが出来なかった浮世絵ファン、歌麿ファンの方は今回の浮世絵展は待望の開催だったことと思います。

「動物たちの浮世絵展」の楽しみ方

本展では、江戸中期から明治初期までの約百年間に描かれた浮世絵から、 動物たちが登場する作品を選び、 絵師たちの創意工夫と江戸の暮らしを見せています。

江戸時代には珍しかった動物や、架空の動物も描かれており、一枚の絵からどんどん想像が広がっていくような作品がたくさんありますよ。

日本人は動物が大好き

日本には古来より干支(えと)という考え方があり、

十二支は、子、丑、寅、卯、 辰、巳、午、未、申、酉、戌、亥と、誰もがイメージできる動物が当てはめられています。

江戸時代には、 暦や方角、 時間などを表すのにも用いられており、 読み書きが不自由な人たちにも「干支」は重宝されました。

このように江戸の暮らしに、 動物たちとのつながりは欠かせません。

江戸の三大ペットは、猫、犬、金魚

江戸末期、すでに庶民の間でペットを飼うという文化があり、三大ペットと言われている、 猫と犬と金魚。
とくに猫が飼われ始めたのは平安時代に遡るそうです。

犬は、江戸時代、徳川綱吉の生類憐みの令の頃にはおなじみの動物となっています。

金魚は夏の風物詩で、時代劇で金魚売の姿が見られることもありますね。

このようにして、人々の生活にペットとして愛されていた動物が浮世絵に描かれています。

夏の風物詩「金魚」

江戸の三大ペットのうちのひとつ、「金魚」は、2月下旬から3月初めにかけてひな祭りのひな段に飾られていましたが、後に夏の風情を感じる動物として多くの浮世絵に描かれています。

本展が開催されるのは夏。描かれた金魚を見て「涼」を感じてくださいね。

たくさんの金魚がいますよ!

他にも、当時の人たちにとって動物はどんな役割があったのでしょうか。

人のパートナーとして働く動物たち、

絵師たちのイマジネーションをいかした空想の動物たち、 

そして「安政江戸地震」と「なまず絵」の流行、

舶来の動物たち、

など、浮世絵から様々な関係が見え、当時のことがよくわかります。

本展ではテーマごとに作品が並んでいますので、ゆっくりご鑑賞くださいね。

のとルネるっちによる浮世絵の楽しみ方!

監修者である中右先生の作品案内を受け、どの作品も面白く鑑賞できました。

そこで、私がとくに気に入った、個人的に厳選した作品を紹介したいと思います。

作品名と楽しいと感じたポイントを記していきます。

実際の作品は、会場までお越しいただき、ぜひ探して楽しんでくださいね!

●渓斎英泉「猫を抱く娘」

→美しい娘さんが茶色のぶち猫を抱っこしている絵です。猫の首輪と娘さんの髪飾りが同じ模様の布です。このことからとっても可愛がられていた猫なんだなぁと伝わります。

●歌川国丸「蚊帳」

→猫が蚊帳でじゃれているような動きが愛らしい絵です。猫もかわいいのですが、絵の左端に房楊枝で歯磨きをしている娘さんが描かれています。このころの歯磨きってこんなのなんだ!と見入ってしまいました。

●歌川芳藤「武遊なそらへもやう ほおずき」

→ほおずきの実を持つ娘さんの足元に、「遊んで」と言っているような猫が描かれています。ほおずきの実を取り出して口に入れて音を鳴らす遊びをして、遊んでほしかったのかな?と思わせるような微笑ましい絵です。そういえば小さい頃そんな遊びをしたなぁと思い出しました。

●歌川国貞「源氏後集余乗 五十のまき あずまや」

→江戸時代の小説の一場面が描かれています。江戸時代は今のようにテレビなどのメディアがあるわけではなく、こうした絵で知られざる世界(たとえばお屋敷の様子など)を知り、興味津々になったと思います。今でいう恋愛ドラマもあったりで、この一枚の絵から想像力をはたらかせることが江戸の庶民の楽しみだったのではないでしょうか。描かれている着物の柄や小物は現代の私が見てもうっとりするくらい綺麗です。

●二代歌川国貞「あつまけんじ(吾妻源氏)みたて五節句 さつき」

→この絵はたくさんの面白い要素がありまして、今回私が一番好きだと思った絵です。端午の節句の絵で、大きな鉢に金魚やメダカが泳いでいる様子を子どもがのぞき込んでいます。そばには湯上りらしい婦人が。傍らには団扇車といって、今でいう扇風機のような形のものが!団扇の柄も様々で楽しませてくれます。かかっている暖簾の模様は雪景色で、少しでも目に涼しい工夫がされています。そして邪気払いの「薬玉」も描かれていますよ。細部にわたって楽しい絵です。

●渓斎英泉「金魚玉を持つ娘」

→これぞ夏の風物詩!金魚玉を持つ少女が描かれています。小さい丸いガラスの水槽の中に金魚が泳いでいます。金魚玉の絵は、中の金魚が大きく描かれているものが多いのですが、実際、ガラスを通してみると金魚は大きく見えるのです。それをしげしげと見ている少女。中右先生は「当時のおきゃんな娘だね」と解説くださったのにはクスッときました。中右先生の浮世絵愛が伝わる解説でした。

●歌川国芳「今様伊勢物かたり」

→インコのような舶来の鳥、大きな水槽に悠々と泳ぐ金魚、ガラス飾りがほどこされたギヤマン(ガラス)燈篭はいまでいうシャンデリアのようです。高貴な方の様子を描いているようで、庶民の方がうっとりと見入っていたのではと思わせる豪華な絵です。

●作者不詳「鯰(なまず)退治」

安政2年(1855) 10月2日、江戸で大地震がありました。「地震の元凶 は、地下にいる大なまずが暴れたせいだという俗説を信じる庶民の間で、「なまず絵」 が魔除けになると伝わり大流行となりました。大きななまずをいろんな職種の人がやっつけている図は、当時の人がいかに地震によって苦しんだか、そんな心情が伝わってきます。

他に動物を擬人化した絵や、めずらしい動物を描いた絵、まるで漫画のような絵もありました。ひとつひとつの作品に楽しいポイントがあるのですが書ききれませんので、この辺にしておきますね。

ああ、ウサギの擬人化した絵もとっても好きでした!

妖怪の姿の動物たち

ちなみに、怖いもの好きの方には、妖怪や人間に化けた狐、狸の絵もおすすめですよ。

狐ですと九つの尾がある九尾の狐、

猫ですと尻尾が二つに分かれている猫又など、昔から伝わる妖怪の姿が描かれています。

そういった動物たちの姿を探し、楽しんでくださいね!

江戸の町にタイムトリップ!記念撮影コーナー

展示ブースは撮影不可ですが、みんなで楽しむことができる撮影コーナーがありますよ。もちろんSNS投稿オッケーです!

こちらは開催初日、開会式に参列された七尾市長による顔ハメ!許可を得て撮影・掲載させていただきました。

なりきっているようです(笑)

こちらはのとルネアンバサダー、北山里江による顔ハメです。

浮世絵の表情ってどんな顔すればよいのでしょう!

どうぞ、皆さんなりきってみてくださいね!

こちらは、展示作品にもある「流行美人 浅草公園水族館」の大型パネル。

この前で記念撮影ができますよ。

明治32年に日本初の私設水族館である「浅草公園水族館」が開館しました。

当時はさぞかしめずらしかったんではないでしょうか。

訪れる方も精一杯お洒落をして、粋な姿。

皆さんもご自慢の粋な浴衣姿で来館し、このパネルの前で撮ってみませんか?

素敵な一枚になることでしょう♪

浮世絵塗り絵

浮世絵の塗り絵コーナーがあります。

色鉛筆も多数用意してあります!

大人でもじっくり色を塗りだすとはまってしまうほどの塗り絵です。

お一人2枚程度となっていますよ。時間のない方はお持ち帰りもオッケーです。

あなたはどの浮世絵に色をのせてみたいですか?

きっと素敵なオリジナル浮世絵ができあがります!

動物たちの浮世絵展オリジナルグッズ

受付近くには、本展のオリジナルグッズがたくさん並んでいますよ。

出品作品が掲載された図録に、クリアファイルやマスキングテープ、メモ帳、手ぬぐいやマグネットなど!

色彩豊かな浮世絵、そして愛らしい動物たちが描かれているグッズは贈り物・お土産に最適です。もちろん自分用にも購入し、お洒落に使いこなせますよ♪

本展の作品が本として販売されています。

「浮世絵でみる!動物図鑑」監修・中右瑛 2400円+税

繰り返し鑑賞したくて訪れたくなる本展ですが、遠い場所の方はぜひ本を購入し、じっくりと鑑賞くださいね。フルカラーで細かく説明もありますので見ごたえ十分の本でした♪

【絵師も動物も、人気モノ勢揃い  動物たちの浮世絵展】

会期 :2023年7月30日(日)~9月18日(月.祝)
開館時間: 9:00~17:00 (入館は16:30まで)
休館日 :会期中無休
観覧料:・一般800円(700円)
・大学生350円(300円)
・高校生以下無料
※( )は20名以上の団体料金。
※「国民の祝日」は70歳以上の方は団体料金になります。受付にて年齢確認ができるもの(保険証・運転免許証など)をご提示ください。
※障がい者手帳をお持ちの方と、付き添いの方1名様まで無料になります。(ミライロIDも可)
※大学生・高校生の方は学生証を受付でご提示ください。
※専門学校生の方は一般料金になります。

※画像の無断転載(二次使用等)禁止


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