能登地区唯一の総合美術館「石川県七尾美術館」|七尾市

国宝・松林図屏風の作者である長谷川等伯生誕の地、七尾にある能登地区唯一の総合美術館を紹介します。

JR七尾駅から車(タクシー)で5分の位置にある石川県七尾美術館。

令和6年能登半島地震を乗り越え、9月20日待望の再開へ

令和6年能登半島地震で大きな被害を受けながらも、懸命な復旧作業を経ていよいよ再開される七尾美術館を訪ね、学芸員の北原さんにお話を伺いました。そこには、困難を乗り越えた人々の熱い情熱と、地域との心温まる絆の物語がありました。

甚大な被害、そして再開への長い道のり

202411日、能登半島を襲った地震。七尾美術館もまた、深刻な被害を受けました。

「地震当日の夕方、心配で駆けつけると、館内には非常ベルが鳴り響いていました」と北原学芸員は当時を振り返ります。建物の被害は甚大で、展示室やエントランスでは壁が剥落し、屋外では浄化槽が隆起していました。特にエントランスは、吊り天井が激しい揺れで壁に衝突したために損傷が大きく、壁の大理石も剥がれ落ちてしまいました。

展示室では、彫刻作品が倒れて破損し、一部の焼き物にも被害がでました。幸いにも、免震台に設置されていた作品や、転倒防止ベルトで固定されていた収蔵庫の美術品は難を逃れました。

地震後、職員の方々が真っ先に行ったのは、作品の作者や所有者、関係者への状況報告でした。そして、続く3ヶ月間は、膨大な数の収蔵品を一つひとつ箱から出し、被害の有無を点検するという、気の遠くなるような作業に費やされたといいます。その途方もない作業と、美術品への深い愛情には、ただただ頭が下がる思いでした。

破損した作品については、作者やご家族と修復方法を丁寧に協議し、一点一点、修復の依頼を進めていったそうです。

【写真提供:七尾美術館】

地域の支えが光となった

建物の本格的な修復工事が始まるまでの間、職員の方々は出張出前講座や文化財レスキューといった活動を再開。そんな中、忘れられない出来事がありました。地元の小丸山小学校の児童と先生から、「何かお手伝いできることはありませんか」と心温まる連絡が届いたのです。

「地震後の作業で疲弊していた私たちにとって、この申し出は本当に大きな勇気になりました。」と北原さんは語ります。

出前講座は、実際に被災した作品を学校へ運び、子どもたちに美術品と災害について考えてもらう内容で行いました。

疲弊しきった中で差し伸べられた子どもたちの純粋な気持ちが、どれほど大きな光となったことでしょう。お話を伺いながら、人と人との温かいつながりこそが、復興の大きな力になるのだと胸が熱くなりました。 

国宝を守るための見えない努力

建物の修復には、多くの困難が伴いました。特に、長谷川等伯の国宝「松林図屏風」をはじめとする貴重な文化財を展示する施設ならではの厳しい基準があります。工事前には、工事内容の詳細な説明が要求され、工事完了後も、接着剤などから発生する化学物質が完全に揮発し、作品にとって安全な環境だと証明されるまでの「枯らし期間」と呼ばれる時間が必要でした。文化庁の許可を得るためには、この基準値をクリアしなければなりません。

「これらの複雑な手続きと修復作業を乗り越え、無事に『長谷川等伯展』の開催にこぎつけられたのは、スタッフ一人ひとりの大変な熱量があったからこそです」と北原さんは言葉に力を込めます。建物をただ元に戻すだけでなく、美術品にとって最高の環境を取り戻すための専門性とひたむきな情熱が、今回の再開館を実現させたのだと強く感じました。

 休館中の活動

石川県立歴史博物館(歴博)のご協力を得て、昨年の1019日から1117日まで、石川県立歴史博物館で出張展「七尾美術館inれきはく」を共同開催されました。七尾美術館の所蔵品と寄託品の展示が行われました。

また、116日から1117日まで、石川県立図書館で「おかわりボローニャ~絵本とイラスト展~」を開催されました。毎年、七尾美術館で開催している「イタリア・ボローニャ国際絵本原画展」が地震の影響で開催できなかったことで、関係者の協力を得て実現したそうです。七尾美術館として、これまでのボローニャ展の歩みを紹介するパネルや過去のポスターなども展示されたそうです。

七尾美術館の学芸員の方々は、県や国が主導となる文化財レスキューにも参加されたそうです。

お話を伺う中で、こうした活動を通して多くの方々に支えられていることへの深い感謝の気持ちが伝わってきました。 

2年ぶりの開催!震災復興祈念「長谷川等伯展」

いよいよ920日(土)から、2年ぶりとなる待望の展覧会「開館30周年記念・震災復興祈念 長谷川等伯展~帰ってきた国宝・松林図屏風~」が開幕します。

本展は、地震と豪雨災害からの復興を祈念する石川県内3館(石川県立美術館、金沢21世紀美術館、国立工芸館)の連携事業「ひと・能登・アート」の一環としても位置づけられています。

この連携事業では、全国の美術館が所蔵する貴重な文化財が能登の地に集うほか、キヤノンの高精細な複製技術と京都文化協会の協力により制作された長谷川等伯の国宝「楓図」複製品の寄贈もされ、復興を力強く後押しします。 

未来へつなぐ希望の展覧会

再開館後の七尾美術館では、魅力的な展覧会が続々と予定されています。

  • 920()1019():開館30周年記念・震災復興祈念 長谷川等伯展

 

  • 1030()113(月・祝):七尾市美術展
  • 117()1214():イタリア・ボローニャ国際絵本原画展
  • 1220()28():私たち七尾美術館PR隊!まなざしの先
     ・小丸山小学校とのコラボレーション企画。児童たちが子ども目線で書いた作品解説が展示を彩ります。
  • 221()419():七美コレクションダイアリー〜収蔵品でつづる30年〜
     ・開館30周年の歩みを収蔵品と共に振り返ります。

最後に北原さんは、「美術館前の庭も大きな被害を受けました。庭の復旧は、残念ながら今回の再開には間に合いませんでした。展覧会をご覧いただいた後、美しい庭も楽しんでいただくのが本来の姿。一日も早く元の姿に戻したいです。」と、未来への思いを語ってくださいました。

多くの人々の尽力と支えによって、再び扉が開かれる七尾美術館。復興のシンボルとして新たな一歩を踏み出すこの場所へ、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

長谷川等伯展とイタリアボローニャ国際絵本原画展は毎年展示

石川県七尾美術館では、所蔵の長谷川等伯(七尾在住の折には長谷川信春と称していました)の作品を、期間を設けて毎年展示をしています。

そして日本では4か所しか巡回していないイタリア・ボローニャ国際絵本原画展の展示も毎年行われています。

訪れたこの日は、イタリア・ボローニャ国際絵本原画展が開催されていました。

駐車場から、美術館に向かいます。

小さな丘の周りを散策しながら美術館に向かえるようになっています。

海も見える!七尾を一望することのできる丘を散歩。

あそこに向かえば何かが見える・・・という雰囲気をもっています。

 

さほど遠くもないところに、七尾湾が。その奥に見える島は能登島です。

思わず駆け下りていってしまいそうな広さ。

子供が走り回ることのできる広さ!

なだらかに見えますが、けっこうな勾配です。

子供なら喜んで走ったり駆け上がったりするのではないでしょうか。

駐車場から小高い丘の周りをぐるっと歩いて約2分で七尾美術館が見えます。

一般駐車場の他、七尾美術館すぐ横には優先者専用駐車場も設けられていますので、身体が不自由な方がいる場合でも、すぐに美術館に入ることができます。

日本では4か所のみ、イタリア・ボローニャ国際絵本原画展の巡回地のひとつ。

令和元年で22回目の展示となるそうです。期間中は、入賞した日本作家も含め世界中の絵本作家の原画が鑑賞できます。

絵本の原画展に合わせ、絵本にまつわるグッズの販売やイベントも開催されています。

一年に一回のこの原画展のために七尾を訪れる方もいるようです。

展示期間中のグッズ販売はファン必見の品!

受付とグッズの販売。グッズは絵本ファン必見の貴重なものが数々あり、中でも原画展作品のポストカードは種類豊富で毎年買い込んでしまいます。

美術館の入口・受付は2Fになっており、展示室は2Fに1つ、階段を下って1Fに2つの、合計3つにわかれています。

もちろん、エレベーターもあります。

人にもよりますが、全体をゆっくり観てまわっても1時間~1時間半くらいでしょうか。

途中、庭の見える休憩スペースもあり、疲れることなく鑑賞できました。

2Fには入口・受付他にもアートホールがあり、こちらは240席の円形ホールとなっています。小規模な発表会や芸術の催し物に利用されています。

ボローニャ国際絵本原画展期間中だけの、かわいい記念撮影ゾーンもありました。

美術館とのコラボ!期間限定の特典がある喫茶室。

鑑賞がおわって2Fに戻ってくると喫茶室の入口にたどりつくようになっています。
喫茶室は、11時~16時半となっています。

ボローニャ国際絵本原画展限定コースター付きメニュー!

しっかり、つられてオーダーしました。(メニューは、取材時のものですのでご参考までにご覧ください。)

 

カルボナーラ、シーフードサフランピラフ、オムライス、ピザセット、ケーキセットなどのいずれかを注文すると、

ボローニャ国際絵本原画展限定コースターが1枚いただけるというものです。

迷う!選ぶのに実に迷います!5種全部欲しい方は、5回注文しないと、ですね。

ケーキセットを注文し、うさぎの絵のコースターを選びました。一緒にうつっているのは最後まで迷ったかわいい色づかいのコースター。

紅茶はポットに入り、たっぷり1杯以上ありました。作品鑑賞の余韻に浸り、静かな音楽の流れる中ゆっくりと過ごすことができます。

小さな手洗いにもこんなかわいいパネルが。さすが美術館内ですね!

大きな桜の木越しに見える夕暮れにそまる月。

この桜は春になると結構な景色となり、実は花見の隠れ名所です。

【石川県七尾美術館】

〒926-0855 石川県七尾市小丸山台1-1
TEL. 0767-53-1500 FAX. 0767-53-6262

駐車場(無料):普通車62台+バス4台、優先駐車場2台(楽屋横)
開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)

 


この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

pickup
おすすめの記事