のとルネアンバサダー、観光担当のっちです!
文化12年創業の歴史ある塗師屋店内には「ぬし蔵」なる貴重な輪島塗の文化を学べる場所があるんですよ。
一見、輪島塗製品を販売する商店なのかな、と思って中に入ると、とても奥深く学ぶことができました!
是非皆さんに知っていただきたく、ご紹介しますね。
Contents
輪島塗とは
輪島塗とは、石川県輪島市で作られる漆器のことを言います。
木の椀に生漆を塗りながら強度を持たせるなど、7つの工程を経て仕上がります。
お椀の木地をつくる職人、
木地に漆を塗る職人、
漆塗りに蒔絵沈金を施し模様をつける蒔絵師と、実は何人もの職人の手を経て仕上がるのです。
手間がかかりますが、その美しさと丈夫さで多くの方に愛されています。
輪島塗は高いというイメージを持っていらっしゃる方も多いかと思います。
手間暇かけているため、その価値にあった値段がついています。
せっかく輪島へ来たのだからと、お椀や、お重などを購入される方も多いようです。
輪島朝市内にある「天甚権兵衛商店」は創業文化12年の歴史ある店
輪島朝市通りのちょうど中央あたりに位置する「天甚権兵衛商店」。
創業が文化12年(1815)という塗師屋の漆器店です。
創業200年以上とは!店名に老舗がつくはずですね!
歴史的文化財 塗師蔵
とあります。
「天甚権兵衛商店」内にある輪島塗などの漆器は美しい
「天甚権兵衛商店」内には多数の輪島塗の漆器が並んでいます。
「天甚権兵衛商店」では、ゆっくり見学しながら、自分好みの漆器を探してみるのもとても楽しいのですが、実はもう1つの楽しみ方があるんです。
「ぬし蔵」は、大変貴重な塗り見本や昔ながらの道具が見学できる!
「天甚権兵衛商店」の店舗の奥には、蔵のような入り口があり、そちらが「ぬし蔵」という場所となっています。
この「ぬし蔵」は、さまざまな塗りの見本が展示されています。
奥に進むと・・・
「天甚家 古資料 ぬし蔵」とあります。
靴を脱いで「ぬし蔵」に入ります。
ぬし蔵の中は少し暗くてやや湿気のある空間です。
所狭しと並ぶ輪島塗の漆器たち!
古そうな資料が展示されています。
ご主人が出ていらして、輪島塗について説明してくださいました。
ここぬし蔵は、お椀の木地に漆を塗る、塗師職人の作業場であったと教えてくださいました。
実は漆器は乾燥を嫌う器で、この蔵は適度な湿気があり、塗師として絶好の場所だったそうです。
だから、「塗師蔵(ぬしぐら)」なのですね。
輪島塗の工程途中の器を並べて、ひとつひとつ触れながらその繊細な作業について教えていただきました。
塗師の過程も大変な作業を重ねるそうです。
塗り、乾かして、また重ねを繰り返して、一つの器ができるのに約3か月かかるそうですよ。
大正時代の器が並びます。
なんと!当時の漆器の価格が貼ってあります!
「十人 四拾円」とあります。
漆器十人分で四〇円、ということだそうです。
当時は秋田県や福岡県まで行商に出向き、漆器の見本をすべて持って注文をとりにいったそうです。
輪島塗は美しく丈夫ですが、時には破損したり塗りが欠けたりすることがあるそうです。
しかし輪島塗は修復をすることができるそうです。
ですので多少高価なものではありましたが、出来上がりが三か月後とあってもたくさんの注文を取り付けることができたそうです。
天甚家に残る帳簿にはそういった記録が残っているそうです。
当時は旅館や料亭などに漆器を売るときは必ず黒椀と朱椀をセットで20客ずつ納めたそうです。
この使い分けはなんでしょう?
とご主人に聞かれましたが、そういえば黒い椀が出てくることもあるけど朱色のお椀が出てくることもある・・・
使い分けていることなど全く意識していませんでした。
男性?女性?
いえ、これはお料理が主体となった色わけなのだそうです。
黒椀は、お吸い物用。
お吸い物は三つ葉などの緑の葉がとても映えてみえるからだそうです。
朱椀は、お味噌汁用。
朝のお味噌汁はこちらの朱椀です。
ですので旅館に宿泊したお客様は夜は黒椀、朝は朱椀と必ず二種類の漆器で食事をしていたとのことです。
漆器ひとつとってもこだわりの文化をもつ輪島塗。
古い貴重なお椀が並んでいます。
ぬし蔵の二階は現在開放しておりませんが、当時は漆塗りをする作業場でした。
こちらの一階では下地塗りなどを施し、二階では埃を嫌う漆塗りを行っていたそうです。
当時の職人さんの姿が見えるかのような状態で残されている作業場です。
ぬし蔵の見学は無料
とても興味深く貴重な品々を、店主に伝えれば無料で見学することができます。
店主は現在も、昔ながらの技法を使って塗師として活躍していらっしゃいます。
わからないこと、知りたいことなどがあれば、気軽に聞いてみてくださいね。
輪島塗はとても貴重で値段も高いと思っていらっしゃる方も多いかと思います。
もちろん手軽に買えるものではありませんが、漆で塗られた漆器で楽しむ食事は、食卓もワンランクアップします。
輪島塗は、特別な日にのみ使う方もいらっしゃいます。ですが、輪島塗のお箸や、お椀などは是非気軽に使ってほしいとのこと。
ただし、漆器製品は洗剤などを使わず、ぬるま湯で優しく洗ってくださいね。とご主人からアドバイスがありましたよ。
是非、輪島塗でお気に入りの1品を見つけて、自分の生活の中に取り入れて気軽に使ってみてくださいね。
【天甚権兵衛商店 詳細】
住所: 〒 928-0001石川県輪島市河井町1部172
電話番号: 0768-22-0066
営業時間: 8:00-12:00(店舗は18:00まで営業)
※電話でのお問合せは午後6時まで。
定休日:朝市定休日(第2.4水曜日)
駐車場:朝市駐車場利用
支払い:現金、クレジットカード