のとルネアンバサダー、観光担当のっちです!
昔、郵便が鉄道で配送されていたことをご存知ですか?その歴史を垣間見ることができる貴重な郵便車を紹介します。
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現存しているのは全国で2両のみ!その姿に触れることができる貴重な車両
石川県七尾市にあるのと鉄道 能登中島駅。
ここ中島町は、地図で見ると能登の真ん中あたりに位置しています。能登の観光拠点としてはちょうど良い位置にあるとされています。
その能登中島駅に、現在2両しか現存していないという郵便車が保存されています。
今回は、鉄道郵便車保存会の副会長である大杉輝男さんに郵便車の説明をいただきました。
昔は郵便物を鉄道で運んでいたというのはご存知でしょうか。
この「オユ102565」は、昭和40年代から60年代まで北海道から九州までの線で活躍していた「オユ10形」鉄道郵便車です。
鉄道郵便車というのは、鉄道で郵便を輸送し、車両内で郵便の仕分けがされていました。
昭和後期、鉄道ダイヤに郵便の配送を合わせるのが難しかったり、郵便量が増えたり、郵便の到着に3日程かかったりと国民のニーズに対しての問題が生じ、そこから徐々にトラックで郵便物を運び各地の郵便局で仕分けがされる形に移行されたそうです。
そして国鉄からJRに移行する昭和61年(1986年)、郵便車は全廃となり、郵便車の歴史は幕を降ろしました。
のと鉄道の目玉!として譲り受けた鉄道郵便車
昭和62年(1987年)、のと鉄道発足にあたり、目玉になるものとして郵政省からこの車両を受け継いだそうです。
その後は穴水の甲駅に保存されていましたが、約10年間、ほぼ放置されており、傷みが激しい状態となっていました。
郵便車の内部に当時の写真が残されています。
そこに、鉄道郵便車保存会の前身である、ふるさと鉄道保存協会の会長が能登に旅行に来た際に「もったいない!」ということでもらいうけ、補修し保存活動が開始となったという経緯があります。
その後平成16年(2004年)11月に現在の能登中島駅で保存されるようになったとのことです。
能登中島駅に保存されている鉄道郵便車は主要幹線を走っていた客車
能登で実際に走っていた郵便車は、気動車タイプで自走できる車両だったそうで、車両の1/2しか郵便作業スペースがなかったそうです。
しかし能登中島駅に保存されている郵便車は、東京-北海道などの主要幹線を走っていた客車です。こちらは自走できず、機関車で引っ張ってもらうタイプのものです。
ですのでこの車両は1両全部郵便作業スペースとして使用されていました。
国鉄の車掌でさえ立ち入れなかった鉄道郵便車内!
郵便車は、郵政省管轄であったため郵政省の職員しか入れない車両でした。当時国鉄の車掌でさえ立ち入ってはいけない車両だったので、実は内情を知る人は少ないそうです。
資料も少ないのですが、だからこそ知ってほしい、と鉄道郵便車保存会の大杉さんはおっしゃいます。
鉄道ならではの工夫がたくさん!郵便車内部
郵便物を仕分けする棚は、列車が揺れても郵便物が落ちないように外ななめとなっています。
走る区間によって地名区分が違うため、郵便車の棚には地名区分の記載がありません。郵便職員の頭の中で区分し仕分けされていたとのこと。確かに、一切文字ははいっていませんね!
仕分け作業をするための椅子。仕分け作業をしていないときは邪魔にならないように寄せることができます。しかし実際にはほとんど立って作業をしていたとのことです。
当時の作業風景の写真があり、現在残されている作業設備と見比べることができます。
天井にはたくさんのフックがあります。仕分けされた郵便物が入った袋(郵袋)を区切るためのものです。
今では信じられない話ですが、郵袋からなんと、荷物の荒巻鮭の顔が出ていたこともあったそうです。
蛍光灯カバー、窓枠は頑丈に保護されています。郵便物が入っている郵袋が大変な重量と勢いで投げこまれるため、割れないように造られたそうです。
どんな勢いで積み込まれたのでしょうね。
袋から郵便物をあける台。埃がたつため、上部に換気扇があります。
当時最先端の冷房付き車両
郵便車には冷房が設置されていました。昭和40年代の列車内はせいぜい扇風機の時代です。車両内冷房は当時としてはとてもいい設備であったと言えます。
当時の郵便車は重労働で劣悪な環境であったため、少しでも環境改善にということで冷房が設置されていたそうです。そして「郵政省」の労働組合の力も強かったためとも言われています。
当時の写真を見ると、確かにランニングシャツで汗だくで行っていた様子がうかがえます。
郵便車では、中の職員は鉄道を走りながらの作業となります。なので車両の走る音、ブレーキでどのへんかがわかったそうです。
職人!ですね。
こちらは小スペースながらも休憩席です。
窓、座面、灰皿など、旧国鉄車両を思い出す座席です。懐かしいと感じられるかたも多いと思います。
オユ10製造50周年記念のヘッドマーク
こちらは、記念に作成されたヘッドマークです。2019年に能登中島駅で行われたイベントで観光列車に装着されたそうです。
こちらは2018年の、和倉温泉駅~能登中島駅開通90周年で作成されたヘッドマークです。
能登中島駅がある七尾市中島町は全国有数の牡蠣の産地。ということで中島かき子さんというキャラクターです。
能登中島駅の郵便車から投函する「思い出ゆうびん」
郵便車の中には、昔ながらの赤い丸ポストが設置してあります。鉄道車両の中にこのポストが配置されているのは、全国でこちらだけです!
「思い出ゆうびん」はレアな消印が押印される!
「思い出ゆうびん」は、のと鉄道が中島郵便局、鉄道郵便車保存会の協力を得て行っている企画で、こちらのポストに投函すると「オユ10」特別日付印が押印され、配達されるというものです。
ただし正規の郵便ポストではないため、投函した日付より押印された日付は後日となる場合があります。
こちらのポストに投函された郵便物は、一旦のと鉄道で回収し、預かります。その後中島郵便局が回収するという流れです。
ただし、能登中島駅前のポストは正規の郵便ポストであり、こちらの企画とは別となっております。
「思い出ゆうびん」は郵便車の中のこの丸ポストに投函したものですので、お間違えのないようにお気を付けくださいね。
デジタルな今こそ、能登の思い出を郵便で出しませんか?
こちらの企画は2015年からはじまり、今までに1万通近くの「思い出」が投函されたそうです。
全国でも貴重な保存車両である郵便車を見にいらした際には、こちらから旅の「思い出」を投函してみませんか?
鉄道郵便車の見学の仕方
能登中島駅の鉄道郵便車は、外観だけでも興味深く見ることができます。能登中島駅構内に入って、その姿を間近に見ることができます
普段は施錠されている郵便車ですが、平日は中島駅係員さんが開けてくださいます。ただし、見学のみで案内はありません。
思い出ゆうびんはその際に投函することが可能です。
見学が終わったらまた係員さんに声をかけて下さいね。
土・日・祝日は係員さんは不在なので開けることができず、内部を見ることはできません。
のと里山里海号で来駅して、郵便車を見学することができます
のと里山里海号の観光列車は、能登中島駅に10分間の停車時間があります。その際、アテンダントさんが簡単ではありますが説明してくださるそうです。
その際に、あらかじめ思い出の手紙を書いておけば、停車した際に投函することもできますね。時間がなくて郵便車の見学ができなかった場合でも、アテンダントさんに預けることも可能だそうです。
能登中島駅にのと里山里海号が停車しています。観光客らしき人々が思い思いに景色を楽しんだり郵便車の見学をされていました。
他、能登中島駅のイベントなどで公開することもあります。
能登の真ん中、能登中島駅で鉄道郵便の歴史を垣間見、旅の思い出としてみませんか?
【のと鉄道「能登中島駅」内 鉄道郵便車 詳細】
住所:石川県七尾市中島町浜田ノ1−2
電話番号:0767-66-0051