のとルネアンバサダー、イベント担当るっちです。
七尾市の四大祭りのひとつ、「お熊甲祭」。
七尾市中島町で、毎年9月20日に行われるお祭りです。
千年以上の歴史をもつお祭りで、20mもの枠旗を御神輿のように担ぐ形のお祭りは全国でも大変珍しく、能登の一部のみだそうですよ。
2023年は4年ぶりの通常開催となります。
青空に深紅の枠旗が掲げられる様子は息をのむほど迫力があり、そして美しいお祭りです。
Contents
国の重要無形民俗文化財
お熊甲祭、おくまかぶとまつり、と読みます。
お熊甲祭は、「熊甲二十日祭の枠旗行事」として1981年に国の重要無形民俗文化財に指定されています。
通称 二十日祭り(はつかまつり)
お熊甲祭は、久麻加夫都阿良加志比古神社(くまかぶとあらかしひこじんじゃ)の秋季例大祭で、毎年9月20日に行われています。
それで通称「二十日祭り(はつかまつり)」とも呼ばれていますよ。
久麻加夫都阿良加志比古神社を本社とし、末社19社が参集して寄り合うお祭りで、
起源については、平安時代の資料に久麻加夫都阿良加志比古神社の記載があることから、その当時から行われていたと言われています。
9月20日の朝、中島町の各地区にある末社19社からそれぞれ太鼓、鉦(かね)、道具持ち、神輿、枠旗などが行列になって本社へ向います。
この行列が必見です!中島の町のあちこちから太鼓、鉦の音とともに行列がやってくるのです。
各末社は深紅の枠旗を掲げているので、遠くからでもわかります。
枠旗の高さはなんと20mにも及びます!
そして、見どころは他にもあります。
その行列を先導するのは、鳥甲を被って天狗面をつけた「猿田彦」です。
猿田彦とは
すごく迫力のある表情の赤い猿田彦の姿。猿田彦とは、“物事の先頭に立つ”人物とのこと。
その由縁は、日本神話にさかのぼります。
天照大神の孫にあたる瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)が初めて地上に降り立った際に一番最初に出会い道案内をした怪異な容貌の神とされていることからだそうです。
猿田彦の怪異な容貌とは、
鼻が高い
顔が赤い
大きな金色の目
という、言わば「天狗」のような顔です。
ちなみに猿田彦は、平安時代から「天狗」と呼ばれるようになりました。
ですので猿田彦=天狗ということになります。
その猿田彦が、華やかな装いで、舞いながら行列の先導をします。
その舞は独特の柔らかさで、見るものを必ずや惹きつけます。
実はこの舞はとくに決まった振り付けはないそうで、各地区の猿田彦はそれぞれ独自の動きなのだそうです。
そう知って各地区の猿田彦を見てみるのも良いですね。
私も以前に見たことがあるのですが、もう、見入ってしまって目が離せなくなりました。
太鼓の音と鉦の音がとてもゆったりとした柔らかいリズムなので、猿田彦の舞は外見の猛々しさとはうってかわった優雅さがあると感じました。
お熊甲祭りの流れ
9月20日当日のお熊甲祭りの流れを紹介します。
※2023年は4年ぶりの通常開催となります。
通常の流れをご紹介します。
①道中(午前7時~)
各末社から本社の久麻加夫都阿良加志比古神社へ神輿、枠旗などの行列となって向かいます。海辺の地区では、舟に乗せて渡る場面も見られますよ。境内へ入るのに2時間かけてやってきます。
②境内参入(午前8時頃~)
久麻加夫都阿良加志比古神社の境内へ到着した各地区の行列はここで勢ぞろいとなります。
深紅の枠旗が揃って天にそびえる姿は圧巻です。
境内では早く到着した末社の行列から順に休憩を取り、青空の下で所々でご馳走が広げられています。
まるでお節料理のようなご馳走です。そして華々しい振袖を着た女性も見かけます。
聞くところによると、昔からの慣習で、その年にその地区へお嫁にいらした方が着物をまとい、皆さんにお披露目といった場でもあるとのことです。
③奉幣式(午前10時30分頃出発)
19末社すべてが境内に入り、「奉幣式」という神事が行われます。
ここに各末社の猿田彦も勢ぞろいし一斉に舞います。それぞれがちがう、独特の舞の猿田彦は必見です。
そして太鼓、鉦も鳴り響き、とても華々しく、盛り上がる時です。
④渡卸(正午頃~)
奉幣式のあと、本社神輿とともに一同は約700m離れたお旅所へ向かいます。
お旅所へ向かう順番は、神輿の出発順を決める「しらい」で決まり、毎年どこの末社が一番くじだとかで話題になります。
一番をひいた末社が、本社神輿とともにお旅所へ向かうことになります。
「しらい」は久麻加夫都阿良加志比古神社にてお熊甲祭の前に行われます。
⑤お旅所(午後2時頃~午後5時頃)
本社からこのお旅所へ向かう道中は、神輿や枠旗が一列に並んだ行列となり、その姿も見どころの一つといえます。
お旅所は「加茂原(かもわら)」と呼ばれ、ここで19末社が一同に参集します。
たくさんの人と枠旗。
ここでは「島田くずし」という枠旗による大迫力の技を見ることができます。
この後、行列は末社へと帰って行き、お祭りは終わりとなります。
「島田くずし」とは
約20mもある枠旗を傾け、地面すれすれまで下げる大技です。
昔、このお旅所「加茂原(かもわら)」には大きな樹があり、その下を通る時に枠旗を傾けざるを得なかったことの名残だそうです。
地面スレスレに傾けることはとても高度な技が必要で、どの末社がうまくできるかの見せ場でもあるとのことです。
実際に見たことがあるのですが、枠旗が地面スレスレに傾けられ時は周りから歓声があがりましたよ。
一生懸命枠旗を担いでいる男衆の姿に見惚れました。
お熊甲祭りを体験できる施設
七尾市中島町には、「能登中島枠旗祭りの郷祭り会館」があります。
ここは、久麻加夫都阿良加志比古神社のすぐ近くにあります。
お熊甲祭について詳しく展示解説されており、貴重な資料も数多くありますので是非立ち寄っていただきたい施設です。
七尾の和倉温泉にも七尾の代表的なお祭りを体感できる大きな施設がありますよ。
お熊甲祭りも紹介されていますす。
「和倉温泉お祭り会館」
★今回、お熊甲祭についての写真は、中島町在住のHiroyuki Yamamoto様から頂戴いたしました。ご協力感謝いたします!
写真は、新型感染症流行前の2018年のもの、縮小して行われた2021年のものとがあります。
見所をおさえた写真、そして迫力ある写真でお祭りの勢いが感じられる写真ばかりで、私もお祭り当時のことを鮮明に思い出すことができました!
【お熊甲祭】
9月20日開催
久麻加夫都阿良加志比古神社
お旅所 加茂原(かもわら)
地図では賀茂原という漢字ですが、地元では加茂原という表記は通常です。