能登への愛が生む挑戦! 有機農業で未来を耕す「下野農園」|輪島市門前町

能登半島地震により甚大な被害を受けた輪島市門前町で、深い愛情を込めて農作物を育て、その恵みを活かしたお菓子作りを手がける下野農園
今回は、代表の下野昭治さんと、奥さまの沙綾香さんご夫妻に、震災からの復興への道のり、そして能登の未来にかける思いを伺いました。

フランスとの出会いが紡ぐ能登のお菓子「notogocochi

「形が不適当で廃棄される野菜があるのが悲しくて、ペーストにしてお菓子を作ることにしたんです」と語るのは、パティシエでもある奥さまの沙綾香さん。
下野農園で昭治さんが丹精込めて育てたサツマイモ(シルクスイート)をはじめ、近隣農家のピーマンやかぼちゃを使い、こだわりの焼き菓子「notogocochi」を生み出しています。

中でも特徴的なのは、フランス・ブルターニュ地方の伝統菓子をアレンジした**「ガレットブルトンヌ(シルクスイート)」**
20
30代にかけてフランスを旅し、ニースのレストランでワーキングホリデーを経験した沙綾香さんは、半島であり、塩の名産地でもあるブルターニュ地方に、どこか能登との共通点を感じたといいます。
「大好きな能登とフランス。その縁を結びたくて、能登バージョンにアレンジしました」。シルクスイートの焼き芋の風味に、発酵バターの豊かな香りが広がり、アクセントに能登の岩塩を効かせた、まさに能登ならではの逸品です。

「ぽりぽりクッキー」は、紅はるかの焼き芋ペーストや、ピーマンジェノベーゼ、かぼちゃといった能登の恵みを活かし、お子さんの卵アレルギーをきっかけに考案された卵不使用で日持ちするクッキー。
特にピーマンジェノベーゼは、ガーリックとチーズが効いており、意外にもお酒のおつまみとしても楽しめる一品です。お酒のお供に、またお茶うけとしても相性抜群です。お酒を飲む方も飲まない方も、皆さまで一緒にお楽しみいただけます。
これらのお菓子は、一つ一つ心を込めて手作りされ、「能登のお土産として全国に届いてほしい」というご夫妻の願いが込められています。

下野農園 notogocochi 商品ラインナップ

  • ぽりぽりクッキー(ピーマンジェノベーゼ) 540円
  • ガレットブルトンヌ(シルクスイート) 1個400 / 5個セット2400 / 10個セット4500
  • ガレットブルトンヌ・プチ(シルクスイート) 一箱540
  • notogocochi 3種詰合せセット 1920円
    • ぽりぽりクッキー(かぼちゃ)×1
    • ぽりぽりクッキー(ピーマンジェノベーゼ)×1
    • ガレットブルトンヌ・プチ×1

 

大阪から門前へ、そして能登への深い絆

 

下野昭治さんは、元々大阪で造園業を営んでいましたが、2015年にご自身のお父さまの病気を機に、妹さんが嫁いでいた門前町にご両親と共に移住。
一年間、お父さまとゆっくり過ごし、門前の豊かな自然の中でお父さまが穏やかに最期を迎えたことで、「悔いのない移住の決断だった。門前は本当に良いところ」と振り返ります。

移住当初は「ノープラン」だったという昭治さんですが、造園業で培った土や植物への知識を活かし、農業を始めることを決意。
七尾市能登島で土地を借り、新規就農者として5年間の支援を受けながら農業を続け、現在は認定農業者として、そして造園業も兼業しています。
震災前は様々な夏野菜を栽培していましたが、現在はサツマイモに特化しています。

震災を乗り越え、門前に残るという強い決意

震災発生時、ご夫妻は近くの神社で初詣の最中でした。
一度目の揺れでただ事ではないことを察し、すぐに自宅へ戻ったその瞬間、二度目の大きな揺れに襲われます。
壁や家具が倒れてくる中、保育園児のお子さんが避難訓練通りにコタツに潜り込み、家族もそれに続きました。
昭治さんは、皆が入ったコタツの上から覆いかぶさり、背中で崩れる壁を受け止めたといいます。

その後、車中泊を余儀なくされます。隣に住む10代の男性が1人でいるのを見かけ、ご自身の車に誘い、普通車の中で5人で共に夜を過ごしました。
翌朝、車の窓を叩く音で目を覚ますと、地域の女性たちが具材や機材を持ち寄り、炊き出しでおにぎりと温かい味噌汁を差し入れてくれたといいます。
「被災しながらも助け合う地域の絆の強さと優しさに心打たれました」と昭治さんは語ります。
この時、正月明けに出荷予定だった一番おいしい時期のサツマイモ1トンを、昭治さんは避難所に提供しました。

能登島への交通手段であるツインブリッジが閉鎖され、能登島大橋を経由して農園へ通う日々。4月頃まで断水が続く中、「先の見通しがつかないまま、春には水が出るだろう、と賭けで苗を注文し、植えました」と昭治さん。
奇跡的に水やりの時期に通水したことで、作物を守ることができました。

沙綾香さんは震災後、お子さんと共に10ヶ月間ご実家がある札幌に避難していました。
2024年の農園作業はもう無理だと思いました」と当時の心境を明かします。
ご自宅は全部屋雨漏りし、到底見通しをたてることが出来なかったと。
現在は昭治さん、沙綾香さん、お子さん、そして昭治さんのお母さまと4人で仮設住宅での生活を送っています。

自宅は借家だったため補修が進まず、紆余曲折を経てようやく家を取得し、現在耐震工事に入ることができたといいます。
借家を購入すると決めましたが、その手続きについて相談窓口で「移住者なんだから出て行けばいいだけでは」という心無い言葉をかけられ、深く傷ついたことも。
「門前をこんなにも愛しているのに、と。周りの大反対を押し切ってでも、この門前に残りたいという強い思いがありました」。
その決断に至るまでの手続きは決してスムーズではなかったといいますが、門前への感謝の気持ちが、ご夫妻を支え続けています。

復興への道のりと未来への展望

震災から10ヶ月、沙綾香さんが札幌からオンラインで金沢のパッケージデザイナーと、そして門前の昭治さんと打ち合わせを重ね、202410月にはお菓子作りの再開にこぎつけ、販売を開始しました。

今後について、昭治さんは農業のさらなる発展とお菓子作りの継続、そして造園業との両立を目指しています。
「サツマイモは9月に収穫し、10月には店頭に並びます。お菓子も含めて通販も可能です」と、能登の恵みを全国に届けたいという意欲を見せます。

同業者への防災アドバイスについては、「その瞬間の行動にかかっている。準備があったからといって助かったとは思わない」と、実際の体験からくる重みのある言葉を語ります。

また、ご夫妻はこれまで受けた支援への感謝を忘れません。
倫理法人会の倫友が県外から収穫作業を手伝いに来てくれたこと、そして家の修理や片付けに駆けつけてくれたボランティアの方々への感謝の気持ちを語りました。
行政の災害ゴミの受け入れ終了時期と現場の状況に乖離があることに憤りを感じつつも、ご夫妻は前向きに復興への道を歩み続けています。

企業詳細

住所:石川県輪島市門前町本市2-66-1
(畑)七尾市能登島別所502-1
電話:090-1025-5673


この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

pickup
おすすめの記事