老舗精肉店「牛勝」能登復興の味と世界金賞「のままソーセージ」|羽咋市

石川県中能登町と羽咋市に店舗を構える、創業60年の老舗精肉店牛勝(カウイン牛勝)さん。

令和6年能登半島地震では、店舗ごと被災しながらも、地域のためにと避難所へ温かい惣菜を届けました。

今回はアルプラザ鹿島店で被災した、社長の三女・番匠玲さんにお話を伺いました。

震災直後の緊迫した状況での判断や、世界的コンテストで金賞を受賞したのままソーセージに込められた情熱、能登のまっすぐで、まじめな味を守り続ける家族の物語をお届けします。 

中能登・羽咋で創業60年|老舗精肉店牛勝のこだわりと能登食材

牛勝さんは、羽咋市駅前通り商店街の本店と、中能登町のアルプラザ鹿島店を展開し、長年地域住民の食卓を支えてきました。精肉販売に加え、手作りのハム・ソーセージ、お弁当やお惣菜まで幅広く手がけています。

一番のこだわりは手作り能登の食材

お弁当やお惣菜は、店内で丁寧に手作りされており、家庭的な温かさが魅力です。また、精肉は番匠久雄社長自らが目利きし、厳選して仕入れた確かな品質のものだけが並びます。

 

能登半島地震発生|幻となったオードブルと避難所へ届けた牛勝の想い

202411日。あの日も牛勝さんは、いつも通りお正月の営業を行っていました。夕方にお客様へお渡しする予定の、たくさんのオードブルやお正月用の惣菜が作り終えられた、まさにその時でした。

1610分、激しい揺れが能登を襲いました。

アルプラザ鹿島店では、スタッフ全員がお客様を優先して誘導し、着の身着のままで屋外へ避難。冬の寒空の下、肩を寄せ合って余震に耐えました。

2時間後、安全確認が取れ、ようやく代表者だけが店内へ戻る許可が出ましたが、棚からは商品が落ち、調理器具や資材が散乱していました。しかし、楽しみに待っていたお客様へ、心を込めて作ったオードブルをお渡しすることは叶いませんでした。

「この日渡すはずだったオードブルを届けられなかったことが本当に心残りです」と、玲さんは振り返ります。

 

 

被災直後の決断。「少しでも地域の役に立てれば」

翌日、店を訪れた番匠さんたちは、被害を免れた商品を急いで冷蔵・冷凍庫へ移しました。幸い電気は通っていましたが、店内は商品が散乱し、お渡しできなかったお正月用の惣菜もたくさん残されていました。

「避難所にはおにぎりくらいしかないと聞きました。だから、無事だったお惣菜を社長自ら避難所へ配りに行きました」

同じアルプラザ内で牛勝さんが経営するイタリアン・トマト Cafe Jr. では、お正月の販売用にたくさんのケーキが準備されていました。そのケーキも避難所や高齢者施設、近隣の方々へ提供されたそうです。自分たちも被災し、片付けもままならない状況の中で、地域の人のためにと動いた牛勝さんの行動は、多くの人の心とお腹を満たしました。 

断水の中での営業再開|地域住民の心を温めた牛丼と復興への第一歩

復旧への道のりは平坦ではありませんでした。最大の問題は断水です。

店内の掃除をしたくても水が出ないため、玲さんたちは自宅のある羽咋市のご近所から井戸水を貰い、毎日店まで運び、店内を少しずつ整えていきました。その生活が2週間ほど続いたといいます。

アルプラザ鹿島が一部営業を再開した際、牛勝さんも同時に店を開けました。しかし、調理の水も限られるため、メニューは限定せざるを得ません。

そこで選んだのが牛丼でした。

「すぐに食べられて、温まれるものを」。

店舗前の通路にテーブルを一つ出し、牛丼などの販売を始めると、多くのお客様が訪れました。特に隣の七尾市では断水が長引いており、料理ができない方々にとって、牛勝さんのお弁当やお惣菜はまさに命綱でした。

七尾市の一部では4月末頃まで断水が続き、その間は普段以上の数のお弁当や総菜を作る日々が続きました。

震災を経て、牛勝さんが改めて心に刻んだのは、「お客様に、心から美味しいと言ってもらえる総菜やお弁当を作り続けたい」という想いでした。

揺れ動く日常の中でも、変わらない食の安心を届けたい。その目標が、復興への大きな原動力になっています。 

地震後に広がった食を通じた支援の輪

「避難所で食べたオードブルが本当に美味しかった。とても助かりました」

「美味しかったから、また買いに来たよ」そんなお客様の声を聞いて、

改めて、お客様の美味しいという言葉が何より嬉しく、仕事の励みになると感じられたという玲さん。

震災直後は、奥能登の取引先(旅館や飲食店)からの発注が止まるなどの困難がありましたが、全国から多くのふるさと納税の注文が入り、大きな支えになったそうです。

また、SNSも役立ちました。牛勝さんの公式LINEに、能登へ向かうボランティア団体から「炊き出し用の肉を購入したい」という問い合わせがありました。また、Instagramを見て、奥能登へ向かう前に牛勝さんへ立ち寄り、お肉を買い求めてくださった方も多かったといいます。

海外・企業の復興支援でも活躍

2024年夏には、韓国からの支援者がプルコギを作るために肉を購入。

また、名古屋の企業が復興イベントサウナで日本を熱く2025のままソーセージを販売し、能登の食をアピールしてくれました。 

世界が認めた のままソーセージの魅力と挑戦

牛勝さんを語る上で外せないのが、羽咋本店にある工房で作られるのままソーセージです。

のとの・まっすぐ・まじめな、その頭文字をとって名付けられたこのブランドには、玲さんのご主人、尚弘さんの熱い想いが込められています。

かつて東京の展示会で食べたソーセージに衝撃を受けた尚弘さんは、名店ぐるめくにひろ1年間修行し、社長の長年の夢でもあった自家製ソーセージの製造を実現させました。

能登食材と珠洲の塩で作る本格ドイツ製法

  • 能登の厳選素材
  • 無添加への挑戦
  • 世界レベルの味

社長目利きの能登豚と珠洲産の海水塩を使用し、本当に自分の食べたいものをと、添加物を極力控え、手間ひまを惜しまず作られているそうです。その甲斐あって、ドイツ食肉連盟主催のIFFA 日本食肉加工コンテストで、ソーセージやフランクフルト、ベーコンが見事金賞・銀賞を受賞されました。

本場ドイツも認めたその味は、ふるさと納税やイベント販売でも大人気です。

全国の皆様へメッセージ「能登を忘れないで」

最後に、全国の皆様へのメッセージをいただきました。

「ぜひ、能登に遊びに来てください。能登を忘れないでほしいです」

震災前よりも、観光客の方が増えているように感じると語る玲さん。「以前お土産にいただいた焼き豚が美味しくて」と、遠方から訪ねてくる方もいらっしゃるそうです。

能登の食材を使い、まっすぐに、まじめに作られた牛勝さんの味。

中能登・羽咋へお越しの際は、ぜひその温かさに触れてみてください。 

企業詳細

有限会社 牛勝(カウイン牛勝)

・アルプラザ鹿島店

住所:石川県鹿島郡中能登町井田と11(アルプラザ鹿島内)

TEL0767-76-2304

営業時間:10:0021:00

 

・羽咋本店

住所:石川県羽咋市川原町テ27-3

TEL0767-22-0029

・のままソーセージ 公式HPhttps://nomama.shop/


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