七尾の歴史を知る「能登畠山氏とゆかりの文化」|七尾美術館

のとルネスペシャルアンバサダー、観光担当のっちです。

歴史大好きな私が、とっても楽しみにしていた展示のご紹介です。

美術がお好きな方はもちろんですが、私のように、歴史好きな方にもおすすめの展示のご紹介です。

 

能登畠山氏とゆかりの文化

加賀百万石の繁栄の元となったとも言われている、かつて七尾の地で繁栄した「能登畠山文化」。
その歴史的な背景とあわせて、そこにまつわる様々な展示を楽しめる「能登畠山氏とゆかりの文化」が、現在石川県七尾美術館で開催されています。

なぜ、七尾の地で豊かな文化が繁栄したのか?どのくらいすごいことだったのか?

知るときっと七尾がもっと好きになる、そんな展示だと思います。特に地元の方には是非ご覧頂き、ふるさと愛を深めて頂きたいと思います。

能登畠山氏とゆかりの文化 詳細

「能登畠山氏とゆかりの文化」

会期:2023年9月23日(土/祝)~10月29日(日)

開館時間:9:00~17:00(入館は16:30まで)

会場:石川県七尾美術館

休館日:毎週月曜日(10月9日は開館)、10月10日(火)

観覧料:・一般500円(400円)
    ・大学生350円(300円)
    ・高校生以下無料
     ※( )は20名以上の団体料金
     ※「国民の祝日」は70歳以上の方は団体料金になります。
      受付にて年齢確認ができるもの(保険証・運転免許証な ど)をご提示ください。
     ※10/15(日)「いしかわ文化の日」は石川県内居住者の方は無料になります。
     ※障がい者手帳をお持ちの方と、付き添いの方1名様まで無料 (ミライロIDも可)
     ※大学生・専門学生・高校生の方は学生証を受付でご提示ください。

能登畠山氏とゆかりの文化 初日

展示会の初日、教育長らによる挨拶、テープカットの後、学芸員の方の解説を聞きながら展示を楽しむことができました。

石川県七尾美術館では、各展示の初日や、団体でお越しの際に解説付きで観覧できます。
外部の専門家による解説がない場合でも、石川県七尾美術館の学芸員の方による解説が聞けます。

作品や、作品の背景、作品にまつわるエピソード等を聞きながら観覧すると何倍にも楽しめますので、

今後の展示につきましてもタイミングが合いましたら、ぜひ初日の開館直後にご観覧ください!!

畠山 義総をご存じですか?

「畠山 義総」は、七尾にゆかりの深い歴史上の人物です。名前を見て、読み方や、何をした方かがわかる方はかなりの歴史好きか七尾通でしょう。

歴史の教科書に必ず名前が載っていると言う方ではありませんが、少なくとも、七尾市に関わりのある方には、この機会に是非とも知っていただきたい、能登の歴史上の重要人物です。

まず「畠山 義総」の読み方は「はたけやま よしふさ」です。

畠山氏といえば、室町時代、足利幕府内において要職に就ける名家であり、力のある守護大名でした。能登畠山氏の初代当主満慶(みつのり)、2代目の義忠(よしただ)は将軍のいる京都に住んでいましたが、3代目の義統(よしむね)の代に、京都に壊滅的な被害を与えることとなった「応仁の乱」が起こり、義統が拠点を能登の七尾城へ移したことが、能登畠山文化を生み出すきっかけとなります。

能登畠山氏ゆかりの文化とは?

京都から能登畠山氏の元へ戦禍を逃れてやってきた公家や文化人達により、都の文化や芸術が七尾にもたらされたことで、七尾が文化的にも栄えることとなり、やがて小京都と呼ばれるほどになります。特に7代目の義総が、文化、芸術にも造詣が深い名君であったことにより、義総が統治した30年間に能登畠山文化の絶頂期を迎えました。

そしてこの畠山文化の絶頂期の七尾において、かの天才絵師長谷川等伯が誕生することとなります。

さらに、畠山氏滅亡の後、七尾城を与えられ、小丸山城を築いた前田利家が、やがて「百万石行列」として毎年再現されるような金沢城への出世街道を歩むこととなり、能登から金沢へと文化を伝えたことが、のちに加賀百万石の豪華絢爛な文化の繁栄につながったとも考えられます。

今回の展示は、「能登畠山氏とゆかりの文化」というタイトルになっています。
展示品そのものの素晴らしさ、美しさは、実際に見て感じて頂ければ良いのですが、その展示品の背景、「ゆかり」について知ることで、さらに楽しめる展示となっていますので、ぜひ、展示品の近くにある、年表や解説もゆっくりごらんいただければと思います。

能登畠山氏関係略年表

最初の展示室に入ってすぐこの年表があります。

今回の展示品と関わる歴史、畠山氏が能登守護となり、前田利家が金沢へと移るまでについて確認していただけます。

たくさんの展示品の中から、いくつかご紹介したいと思います。

畠山義総作品の展示

まず、興味深かったのが、こちらの畠山義総の書状です。

歴史を動かしたとも言われる香木「蘭奢待」については、足利義満や織田信長など歴史上多くの権力者がそれを求めたということで、歴史ドラマでも度々取り上げられる話題ではありますが、なんと、この蘭奢待を畠山義総ももらっていたということがわかる書状です。

香木をもらったは良いけれど、その炊き方がわからず、その調合のためのマニュアルをもらったお礼の書だということです。ここには書かれていませんが、学芸員さんから伺った後日談では、義総は、蘭奢待のあまりの良い香りに、すぐに使い切ってしまい、また欲しいとお願いしたとか。なんだかとてもチャーミングな方だったのかなと思わせてくれるエピソードでした。

畠山義総書状(山科家宛) 七尾市蔵

展示室の中にも、義総がいかに文化芸術に造詣が深く、政治的手腕にも優れた君主であったか、いかに七尾が文化都市として繁栄していたかについて書かれたパネルがありました。是非こちらもご覧ください。

この中にも書かれていますが、義総は、度々文化人を招いて和歌や連歌の会を行ったそうです。

今回の展示は、畠山連歌として現存している3本すべてが揃えられた初めての機会ということですので、是非ゆっくりごらんください。

 

(左)「賦何船連歌(ふすなにふねれんが)」(部分) 七尾市蔵
(中)「賦何路連歌(ふすなにみちれんが)」(部分)東京都・明治大学図書館蔵
(右)  「賦何人連歌(ふすなにひとれんが)」(部分) 個人蔵

伸ばすと4メートルくらいの打雲の入った和紙に書かれています。

三連歌についての解説もありますのでご参考に!

長谷川等伯関連の展示

今回の展示には、長谷川等伯の作品もたくさんあります。

複製松林図屏風 

こちらは複製ですが、それでも作品の迫力を味わうことができます。

「仏涅槃図」 穴水町・来迎寺蔵

こちらは10月12日までの前期のみの展示となります。後期には別の作品と入れ替えられるそうです。

「日蓮聖人坐像」 七尾市・本延寺蔵

こちらは、等伯の現存作品中、彫像に彩色を施した唯一の作品ということで、貴重なものとなっています。

前田利家関連の作品

「前田利家画像」 七尾市・長齢寺蔵

現在放送中の大河ドラマ『どうする家康』では、五大老の一人として、すでに貫禄のある姿で登場している前田利家ですが、
こちらは、珍しい利家の若い頃の画像とされている作品です。長いモミアゲと口ひげは、「歌舞伎者」と言われていた利家の様子をあらわしているのでしょうか?また、左右に描かれている太刀と書物は、利家が文武両道であったことを示しているのでしょうか?実際にはどんな人物だったのか、いろいろ想像が膨らむ作品です。

当時の道具類

その当時実際に使われていた道具なども展示されています。

「陣太鼓」  羽咋市・永光寺蔵  

こちらは実際の合戦の際使われたと思われる陣太鼓で、皮の部分両面に血痕がついていることから、別名「血染めの太鼓」だそうです。なかなか生々しいですね。

「脇指 銘能洲笠師/国長作」 個人蔵 

現存する中世能登ゆかりの刀剣はほとんどなく、重要な逸品だそうです。

「黒韋肩紅白糸威腹巻 古制背板付 長家伝来」 石川県立歴史博物館蔵
(くろかわかたくれないしろいとおどしはらまき こせいせいたつき ちょうけでんらい) 

戦場で使われる様々な甲冑のうち、こちらは腹巻きといわれるもので、元々は下級武士が使う物でしたが、室町時代には上級武士にも使われるようになり、このように豪華なつくりとなったようです。

右手前、別に置かれているの長方形の物は、背面中央の隙間を埋める背板だそうです。
確かに、ここが空いていると不安ですよね。

まだまだ見所満載の「能登畠山氏ゆかりの文化」、ぜひ、ご覧ください。

石川県七尾美術館についてはこちらでご確認ください。

 


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