
のとルネアンバサダー、観光担当のっちです!
能登にきたらぜひ見てほしい!迫力満点の御陣乗太鼓をご紹介します。
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輪島に伝わる「御陣乗太鼓」とは?
「御陣乗太鼓(ごじんじょうだいこ)」と言われてもピンとくる方は少ないかと思います。
太鼓を使った何かなのかということはわかるかもしれませんが、名前からでは、詳しいことはわからないですよね。
「御陣乗太鼓」のはじまり
歴史が苦手な方も、ぜひ知っていただきたい「御陣乗太鼓の由来」。
御陣乗太鼓の発祥の地は、現在の輪島市名舟町。
歴史は400年前の戦国時代、かの有名な上杉謙信が、能登の名城であった七尾城を攻略し、その後、奥能登にも攻め入ってきました。
小さな漁村であった名舟村にも、上杉謙信の手が目前に迫ってきました。
武器らしいものを持っていない村民でしたが、それでも村を守りたい一心で漁に使う槍(やり)、くわ、かまを手に取り戦おうとしました。
とはいうものの、精鋭ぞろいの上杉軍に敵うはずがありません。危機迫る中、郷土防衛の一念に燃え立った村人達は、村一番の知恵の持ち主の古老に相談しました。
その古老の出したアイディアが何とも奇想天外なものだったのです。

古老の指図に従い、樹の皮でお面を作り、海藻を頭髪として身に付け、髪を振り乱し、太鼓を打ち鳴らしながら、寝静まる上杉謙信勢に夜襲をかけたそうです。
このような怪物が突然現れたことに、恐れおののき、上杉謙信勢は戦わずして退散したといわれています。
御陣乗太鼓の発祥の地「名舟」に受け継がれる伝統
「血を流さず、気勢だけで敵を退けたことは名舟の誇り」村人たちは、この勝利を名舟の護り神の奥津姫(おくつひめ)神のおかげだとして、氏神への感謝を捧げる大祭で太鼓を奉納するようになりました。
その大祭が、毎年7月31日夜から8月1日に開催される「奥津姫神社の大祭(名舟大祭)」です。
大祭初日、各地区の「キリコ」と呼ばれる灯籠が集まり、神輿とともに名舟海岸に向かいます。
神輿が船に乗り海にある鳥居まで行き、奥津比咩神社の祭神を迎え、神輿が海岸に戻ると、御陣乗太鼓が奉納されます。
夜の大祭です。真っ暗な暗闇に響く大きな太鼓の音と、浮かび上がる恐ろしい形相のお面。
まさに400年前に上杉謙信勢が味わったであろう、不気味な空気と恐怖感を体感できると思います。
『御陣乗太鼓を叩くことができるのは、輪島市でも名舟町に住んでいる者のみ』と輪島市名舟町御陣乗太鼓打ち保存会会則に、その旨が記載されています。
400年以上の歴史を持つ、まさに門外不出の伝統太鼓であることがわかりますね。
※2020年は新型コロナウィルス感染拡大防止の為、祭事は中止となりました。
御陣乗太鼓の見どころとは?

御陣乗太鼓は、序・破・急というリズムで打ち込みます。またその間にも自由な形で、お面に応じた身振りやミエを切ったりと独特な太鼓を見ることができます。

御陣乗太鼓の太鼓の音は、天に轟くような響きがあります。
あまりの迫力に泣き出してしまう小さなお子様もいらっしゃいます。
ぜひ由来を知って御陣乗太鼓をご覧になっていただき、昔々の歴史…先人たちの能登を守りぬこうとした強い思いを感じていただきたいと思います。
「御陣乗太鼓」お面の種類
御陣乗太鼓を見ていると様々なお面が登場してきます。女性や男性の幽霊?、おじいちゃん?、ダルマさん?などがあります。少しご紹介したいと思います。
■夜叉面
夜叉は人を害する鬼神の半面、財宝神ともされ、仏法護持の神とも言われる。憤怒の形相から「神の怒り」と形容される。神は海藻のものと付け毛のものがある。
■女幽霊
悲しみに耐え忍ぶ能登の女の風情を表現し、「泣き女」とも呼ばれる。髪は地元でシゲと呼ばれる海藻と付け毛。
■爺面(1)
「爺面」と呼ばれているが、大きな鼻柱や下あごには意思の強さが感じられ、労働で鍛えた逞しさがにじむ。髪は馬の尻尾と苧麻。
■爺面(2)
固く結んだ口元に物言わぬ能登の漁師の頑固さがただよう。髪は苧麻
■爺面(3)
地元では「シゲ面」と呼ばれ、シゲの髪が最もよく似合う。シゲは年に一度新しいものに付け替えるが、乾燥して切れやすいので、面をかぶる前には水で濡らす。
■男幽霊(1)
頬がそげ、苦悩に満ちた表情は、海で死んだ男の亡霊を思わせる。「土左衛門」とも呼ばれる。髪は馬の尻尾に付け毛。
■男幽霊(2)
痩せてやつれても、能登の風土に耐える男の悲しさがただよう。髪はシゲと付け毛。
■達磨
「仏」の位置づけにあり、坊主だけに剃髪の態で、畏敬の中に親しみがただよう。頬かぶりに、インド僧の袈裟を表すオレンジ色の衣装を着ける。
(御陣乗太鼓公式サイトより引用させていただきました)
なぜ幽霊や仏様のお面なのか?「生きている人たちだけでなく、ご先祖様や仏様も一緒になってこの地域を守っているんですよ」とのことでした。
石川県無形文化財、輪島市指定文化財に指定されている「御陣乗太鼓」
歴史ある御陣乗太鼓は、昭和36年に輪島市指定文化財に、そして昭和38年には石川県無形文化財に指定されています。
輪島に来たなら「御陣乗太鼓」の歴史を知り、迫力を感じ、身体全体で体感してほしい文化です。