のとルネアンバサダー、北山里江です。
約20万点ものデザインサンプルが保管されている中能登町織物デザインセンターをご紹介します。
繊維、生地の紹介、中能登町の織物と繊維の歴史を紹介しています。
訪問すると職員の方が施設内を案内し説明してくださいます。
Contents
昭和30年代の織機展示
玄関を入ったロビーには、昭和30年代に使われていた織機「絹人繊半木製織機」が展示されています。
こんなに間近で、当時使われていた織機を見れることは大変貴重だと思います。
20万点あまりのデザインが保管
2階の展示場には、6000ハンガー、約2万~3万点ものデザインサンプルが展示されています。
入った瞬間その数の多さに驚きました。水玉、幾何学、動物、植物、縞、格子などの色鮮やかなたくさんの柄が展示してあります。
展示場には、展示しきれないほどの数が蔵に保管されていて、その数はなんと20万点ほどになるそうです。
保管されているデザインは、昭和46年から平成9年までのデザインとのことです。
平成17年に染色屋さんより寄贈するとい話がきっかけとなり、織物デザインセンターが開館されました。
不景気で倒産した染色屋さんのデザインが廃棄されずにこちらに寄贈されて良かったと思います。
データ化されているデザインサンプル
これら20万点あまりのデザインは、データベース化されていてパソコンで検索することもできます。
ファッション業界は、5~10年のサイクルで新しいデザインを開発するそうで、ここにあるサンプルデザインをもとに商品開発の参考にもするそうです。
ライセンス契約をすることで、こちらにあるデザインサンプルを3年間自由に使うことができるそうです。
これは、サンプルデザインの図柄ですが、これを現在は全てデータベース化しているそうです。
2000年前広まった機織
展示場に入ると、年表が掛けられていて、中能登町の織物の歴史を紹介しています。
今から2000年前の弥生時代に当時の崇神天皇の皇女である沼名木入比賣命(ぬなきいりひめのみこと)が、この地に滞在した時に、機織りを教え広めたのが始まりと言われています。
その事を示す由緒が、中能登町能登部下区にある能登比咩神社(のとひめじんじゃ)に残されているそうです。
沼名木入比賣命が伝えた麻の織物は、江戸時代後期に近江の国から技術を導入して発展し、その上質さが認められて「能登上布」の称号が付けれたそうです。
この称号がついたのは明治40年です。
中能登町の織物の歴史
北陸三県は繊維の産地として知られており、日本の織物の約半分を生産されているそうです。その中でも中能登町は、一番生産量が多いそうです。
歴史をたどると、明治21年に、絹の織物が始まり、昭和2年には、全国一の麻織物生産地となりました。
そして、昭和5年頃から、人絹(レーヨン)が作られるようになりました。
この頃から、合成繊維が作られるようになったそうです。まさに、化学分野の技術が高いことがわかります。
昭和54年が全盛期で、この時は1051社の織物会社があったのですが、現在は100社ほどだそうです。
織物には変わった織物も
展示場の中のホールに、素敵な衣装が展示されていました。デザインを見るのではなく繊維の説明がされています。
中能登町では繊維研究開発グループがあり特殊な繊維を開発しています。
《繊維をいくつかご紹介します》
*とても薄く透けている白い布は、天女の羽衣です。とても軽い布です。
「天女の羽衣」で作られたドレスです。
*シルバーとゴールドの光沢ワンピースは、ナイロンと金属の織物です。
キラキラと光りとても綺麗でした。
*ブレザーは、ポリエステルと和紙で特殊加工をしたものです。
*エプロンは、電磁波防止の布です。
携帯やパソコン、電子レンジなど私たちの生活の中で、たくさんの電磁波に囲まれていますよね。少しでもこのような電磁波を通さない布で体を守ることも必要だと思いました。
*切れない布
布の隣にナイフがあり、切れるか試してみました。本当に切れませんでした。
この布は、御岳山の山小屋に使われているそうです。噴火で石が飛んできても割れない壊れないとう特性があるからです。
*黒い塊は炭素繊維
飛行機のブレーキ、リニアモーターカーのブレーキ、レース用の自動車本体などに使われます。
この黒い塊は、炭素繊維を立体的に織ってプレスしているそうです。分厚くてカチコチですごく硬かったです。強度が物凄くあることがわかりました。
筒状のまま織る技術もあるので、消防のホースにも使われています。
*とても細かい目の網戸
極細の特殊な金属繊維の網戸です。こんなものまで作れるそうです。また、このように網戸に染色することもできるそうです。
子供用ドレスをレンタルしています
展示ホールを出て左手奥に可愛いドレスが展示されている部屋がありました。その名前は「レインボーキャンディ」です。
町祭で子供ファッションショーを開催していた時に使用したドレスをレンタルをされています。
大きさもサイズも関係なく、1着2000円で借りることができて、返却時は、クリーニング不要です。とってもお得ですよね。
もちろん中能登町で織られた生地を使用し、オリジナルデザインでしかも手作りでドレスです。そして、毎年、新作が仲間入りするそうですよ。ドレスがたくさんあって目移りしそうです。
レンタルは、実際に来場して試着できる方のみに貸し出しをしています。
ピアノの発表会、七五三、パーティなどに利用されるそうで、とても人気となっています。
地域ブランド生地「SUJIN(スジン)」
階段の中腹に着物が展示されていたのでお尋ねしたところ、中能登町で開発した地域ブランド「SUJIN(スジン)」という生地です。
吸水性にすぐれ、肌触りも良く洗濯も楽という特徴があるそうです。浴衣に適しているそうです。
熱転写プリントの体験ができます
体験に関しは電話で予約をしてから訪問します。
プリントは、用意されている“メガネクロス”にプリントします。
プリントするデザインは、ハートや音符など24種類のデザインと中能登町のキャラクターの織姫、デザインセンターのキャラクタークジャッキーなどから選びます。
ハートや音符の柄は、デザインセンターに保管されている柄となっています。
どれも可愛いのですが、今回は訪れた記念にクジャッキーにしました。
熱転写体験は、メガネクロス1枚300円となっています。
今回体験した熱転写とは、布地に熱で焼き付ける方法です。
この写真にある機械を使用します。
手順①
手順②
手順③
こんな感じに仕上がります。
実際に体験したことで、普段何気なく着ているTシャツのプリントも興味深く観察するようになりました。
*体験コーナーの部屋の壁には、織物ができるまでの工程、繊維の説明がパネルにて紹介されています。布を織る方法として、空気や水の力で製織することを初めてしりました。
*1階のロビーでは、デザインセンターのオリジナルの布で作られたポーチなどの小物も販売されています。
中能登町では織物が盛んだと聞いていましたが、今回訪れて織物について詳しく知ることができ、
とても有意義な時間を過ごすことができました。
***特典がありました***
ガイドブック「ぶらり能登」を、持って来館するとデザインサンプルが転写された折り紙がもらえます!
織物デザインセンターは、能登上布会館と直結しており、古代の織物から現代までの織物の歴史を紐解くこともできます。
能登上布会館のご紹介は、次の記事にしたいと思います。
オリジナル小物の販売コーナーもありましたよ。
【中能登町織物デザインセンター 詳細】
所在地:羽咋郡中能登町能登部下134-1
電話:0767-72-2121
営業時間:10:00~16:00
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
入場料:無料
熱転写プリント体験:メガネクロス1枚300円(要予約)
駐車場:12台
アクセス:JR七尾線能登部駅下車徒歩15分
JR七尾駅から車で23分(14㎞)