屋根と外壁で能登を守る!創業100年「土一板金工業所」|宝達志水町

今回訪れたのは、石川県羽咋郡宝達志水町にある「株式会社 土一板金工業所(どいちばんきんこうぎょうしょ)」さんです。

私たちの生活に欠かせない「屋根」や「外壁」を守り続けてきた老舗企業。5代目社長である土一 薫義(どいち しげよし)さんに、地震当時のこと、そして復興への想いをじっくりと伺ってきました。

 創業1927年。少年時代の憧れを胸に、5代目へ

土一板金工業所さんの創業は、なんと1927年(昭和2年)。もうすぐ100年を迎える歴史ある会社です。

もともとは別の商売をされていた曾祖母の家に婿入りした曽祖父様が、「家族のために」と板金屋さんで修行をして立ち上げたのが始まりだそう。家族を想う優しさが、会社のルーツにあるんですね。

土一社長ご自身も、中学生の頃にお祖父様が働く姿を見て「自分も同じ仕事をしたい」と決意。その夢を叶えるために建築関係の学校へ進学し、昨年、5代目社長に就任されました。

代々受け継がれてきた技術と想いが、今の土一さんを支えています。 

どんなお仕事をしているの?「家の外装」を守るプロの技

「板金屋さん」と聞くと、少し難しいイメージがあるかもしれませんが、実は私たちの暮らしにとっても身近な存在なんです。

土一板金工業所さんの主なお仕事は、屋根、外壁、そして雨どいの工事です。

まさに、雨風からお家を守る「外装のスペシャリスト」ですね。

今、求められているのは「リフォーム」の力

以前は新築の工事も多かったそうですが、最近は新築の仕事より、「リフォーム」が中心になっているそうです。

屋根や外壁は、人間でいうとお肌のようなもの。

何もしなくても、雨や風、紫外線にさらされて、数年経てばどうしても劣化(経年劣化)してしまいます。

土一板金工業所さんの事業内容は、民家や企業の事業所、店舗、工場などの古くなった屋根の葺き替えや、外壁の張り替え、修繕などです。

傷んだ部分を丁寧に修復し、大切なお家や建物をより長く使えるように蘇らせる。これが今の土一さんの主力のお仕事です。

「軽くて長持ち」が家計と安全を助ける!

リフォームの際、土一さんが扱う「トタン」や「鋼板(こうはん)」についてもお話しを伺いました。

これらには、嬉しいメリットがたくさんあります。

  1. コスパが良い:軽くて扱いやすいため、工事がしやすく、将来的な維持費(ランニングコスト)も安く済みます。
  2. とっても長持ち:一度施工すれば、なんと30年くらいは持つそうです。最近は錆(サビ)に強い素材も増えています。
  3. 地震に強い:瓦などの陶器に比べて圧倒的に「軽い」のが特徴。屋根や壁が軽いと、地震の揺れによる建物への負担が少なくなります。

「リフォームのしやすさと、コストパフォーマンスの良さが魅力ですね」と語る土一さん。見た目を綺麗にするだけでなく、家計と安全面もしっかり考えて提案してくださいます。 

地震に強い家づくり。「金属サイディング」の色々

最近の金属サイディングは、種類も豊富だそうです。「断熱材入りの金属サイディング(外壁材)」もあるそうです。

取材中に見せていただいた断熱材入り実物

断熱材入りの金属サイディングの素材のすごいところは、「断熱材と一体化している」こと。

  • 夏は涼しく冬は暖かい:金属の弱点である「熱の伝わりやすさ」を断熱材がカバーし、高い断熱性を実現。
  • 揺れを軽減:窯業(ようぎょう)系サイディング(セメントなどを固めたもの)に比べて軽量なので、地震の揺れを軽減する効果が期待できます。
  • おしゃれなデザイン:木目調や石材調など、パッと見では金属とは思えないほどバリエーションが豊か。
  • ひび割れにくい:金属なので割れにくく、耐久性が高いのも安心ポイント。

プロの確かな知識で、断熱性・耐震性・デザイン性のすべてを叶える提案ができる職人としての頼もしさを感じました。 

あの日、地域のために走った「ブルーシート」の部隊

202411日。土一さんはご家族と外出中に被災されました。

津波警報も出たことから、近くの高台へ避難したそうです。警報が解除され一旦は自宅へ戻ったそうですが、地震の揺れがまた来るかもしれないとおびえるお子さんの「怖い」という気持ちに寄り添い、その夜は高台の車中で過ごされたそうです。

幸いにも、会社の工場の被害は少なく、また板金加工に使う機械は無事でした。でも、地域を見渡せば屋根瓦が落ち、雨漏りの危険に晒されている家がたくさん

そこで土一さんは、宝達志水町役場からの依頼を受け、立ち上がります。

「屋根の応急処置(ブルーシート張り)」の陣頭指揮です。

瓦屋さんが手一杯になる中、町内の建築関係の事業所さんと協力して組織を作り、次々と入る依頼を各社に振り分ける窓口を担当されました。

「被災された方は混乱していますし、補助金の範囲内で直せるかといった不安も抱えています。正直、採算度外視の『ボランティア』に近い仕事も多かったですが、地域の皆さんが困っているからこそ、やるしかなかったですね」

(写真提供:土一板金工業所)

余震が続く中、3月末まで続いたこの活動。

自分の利益よりも、まずは地域の安心を。そんな土一さんたちの献身的な行動が、多くの住民の心を雨風から守ったのだと思います。 

奥能登へ想いを寄せて。

3月以降は、取引先の関係から被害の大きかった奥能登(輪島・珠洲)へ、仕事に行くこともありました。

発災直後の3月、奥能登へ向かう道路は寸断され、酷い状況でした。 土一さんは地元・宝達志水町でも液状化の被害を目の当たりにしていましたが、珠洲の状況はそれ以上に凄まじく、言葉を失うほどだったそうです。

当初、被災地から人が離れていく現実を見て寂しさを感じる一方で、それでも地元に残って歯を食いしばって頑張る人々の姿に、嬉しさを覚えたといいます。

あれから約110カ月。 現在、宝達志水町周辺での修理依頼は落ち着いてきましたが、奥能登方面からの依頼は依然として続いています。奥能登へ続く道のりと、変わりゆく景色について、土一さんはこう語ります。

「のと里山海道が直っていく様子を見ると、復興が進んでいるなと感じます。でも、奥能登に行くと公費解体が進んで更地が増え、寂しさも感じますね。特に見附島周辺は、家屋がほとんどなくなってしまいました」

お話しを伺っていて土一さんは、街の景色は変わり、壊れた家がなくなることで感じる「空白」の寂しさを感じていらっしゃるように思いました。

県外の友人から「どこに募金したらいい?」と聞かれた際は、「自分の所よりも被害が大きい珠洲や輪島を支援してほしい」と答えたという土一さん。

どこまでも広い視野で、能登全体を思っていらっしゃいます。 

「防災士」としての新たな決意

「いつまた大きな災害が来るかわからない。だからこそ、備えが必要です」

今回の地震を経て、土一さんはなんと「防災士」の資格を取得されました。

ご家庭では、以前より水と食料の備蓄はしていました。地震後新たにお子さんと一緒に「何を持ち出すか」を話し合って防災バッグを作り、会社では断水の経験からお水の備蓄を増やしたそうです。

仕事用の車には、常に水を積んでいるのだとか。 

全国の皆様へメッセージ

災害そのものは防げませんが、被害を小さくすることはできます。避難経路の確認や、家族との連絡方法。一人ひとりができることを、日頃からやっておくことが大切です」

実体験に基づいたこの言葉は、とても重く、そして温かく響きました。 

取材の最後に

取材の最後、工場にある板金を加工する大きな機械を見せていただきました。

地域のために奔走し、今はさらに被害の大きい地域へと力を注ぐ土一さん。

「昔は大手ゼネコンの仕事もしていましたが、今は地域密着。地元の集まりや人との繋がりを一番大切にしたいんです」

そう語る笑顔を見て、復興とは単に建物を直すことではなく、こうして「人と人との心を繋ぎ直すこと」なのだと感じました。

土一板金工業所さんのような、地域に根差した温かい企業が能登にはあります。

お家の屋根や外壁のことで気になることがあれば、ぜひ土一さんのような地元のプロフェッショナルに相談してみてください。

 企業詳細

株式会社 土一板金工業所

代表取締役 土一 薫義

住所:石川県羽咋郡宝達志水町荻市ヨ11

TEL:0767-29-2178

 


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