北陸最大級の前方後方墳がある国指定史跡「雨の宮古墳群」【中能登町】

のとルネアンバサダー、観光担当のっちです。

中能登町には、調査してわかっているだけでも700基以上もの古墳があります。

その中の「雨の宮(あめのみや)古墳群」には、北陸最大級の規模の古墳があります。

国指定史跡である「雨の宮古墳群」をご紹介します。

北陸最大級の前方後方墳がある雨の宮古墳群

中能登町にある眉丈山(びじょうざん)。スッと眉のように美しい稜線を持つ山です。

標高は188mで、その山頂を中心に4世紀中頃から5世紀初めにかけて作られた36基の古墳があります。

中でも1号墳は眉丈山の一番高い場所に位置し、北陸最大級の前方後方墳とされています。

前が方形で後ろも方型です。

その大きさからして、この周辺一帯を治めていた支配者の墓と考えられています。

1号墳と向き合うようにして2号墳があります。

こちらは前方後円墳で、前が方形で後ろは円型です。

小学校の社会の教科書に掲載されている「日本最大の古墳」と同じ形ですね。

1号墳・2号墳の規模

雨の宮古墳群の1号墳(前方後方墳)は全長64mあります。

2号墳(前方後円墳)は全長65.5mになります。

どちらも山の自然の地形を利用して造られており、墳頂部の高さは、1号墳の方が2号墳よりも7m高く造られています。

雨の宮古墳群の名前の由来

この1号墳のそばに小さなお社があります。ここは「天日陰比咩神社(あまひかげひめじんじゃ)」です。

説明してくださったガイドさんの話によると、昔はここに天日陰比咩神社の拝殿・本殿があり、小さい頃にお参りに来ていたそうです。

その天日陰比咩神社では、能登一円の雨乞いの神事が行われていたということです。

その神事は大正時代まで続き、神社の通称は「雨の宮」だったそうです。

雨乞いの際に献上されたとされる水は「みたらしの池」の水で、今も雨の宮能登王墓の館のそばにあります。

小田中親王塚古墳と雨の宮古墳群

雨の宮古墳群のある眉丈山の麓には、邑知潟という大きな潟があります。

古代、ここは入り江となっており、長い年月で出口が狭まり海から切り離され潟となりました。

邑知潟は、古代には大きな船も入り貿易が盛んに行われていた場所だと地元の方から聞きました。

雨の宮古墳群からこの邑知潟を挟んで向かい側には小田中親王塚古墳があります。

こちらも大変貴重な史跡です。

雨の宮古墳群と小田中親王塚古墳。古代の重要な古墳が対峙して存在しています。

雨の宮古墳群の1号墳・2号墳とも誰が眠っているかはわかっていないのですが、

とても重要な人物であったに違いありません。

その重要性から昭和57年(1982年)10月12日には国の指定史跡となりました。

雨の宮古墳群 アクセス

さて、実際に行ってみましょう。

最寄り駅はJR能登部(のとべ)駅です。徒歩ですと1時間以上はかかってしまいます。

タクシーですと能登部駅から約10分でつきます。

雨の宮古墳群に向かうのは自家用車がおすすめです。

県道には大きな案内看板があります。

そこからさらに整備された山道を登り、たどり着いたのが「雨の宮能登王墓の館」。

ここでは雨の宮古墳群で出土された品々、古墳にまつわる知識、歴史などが詳しく紹介されています。

雨の宮古墳群ボランティアガイド

こちらの受付に、ボランティアガイドの方がいらっしゃいます。

ガイド料100円で、この古墳群を説明・案内してくださるというのです。

説明があるのとないのとでは、満足感が全く違います!

是非ガイドをお願いし、案内していただくことをおすすめします。

ガイドさんは「雨宮能登王墓の館」が開館日であればほぼいらっしゃるとのことですが、

都合により対応できないこともあるとのこと。受付で聞いてみてくださいね。

受付前には傘と杖の貸し出しがあります。

道程は長く、未舗装で勾配があるところもあると聞いたので、私は杖をお借りしましたよ。

歩いていても安定感がありました。

そして、足元はスニーカーで!

雨の宮古墳群を歩く

ガイドさんと一緒に杖を持って出発です!

雨の宮能登王墓の館から古墳群に向かう途中には「雨の宮グリーン広場」があります。こちらは広くて遊ぶことができる広場となっており、バーベキュー施設も併設されていますよ。

古墳に向かう道は整備はされていますが細い道です。

ガイドさんが子どものころ薪を担いで通った道だそうです。

その途中にこの大きな石があり、「この石には触れるなと言われたよ」と。

自然にある石とは少し違う感じで、「横穴の蓋だろうか?」と興味深いことを話されました。

しかし「座って休むにはちょうど良い石なんだよね」とユーモラスなことも口にする楽しいガイドさんです。

鳥居があります。いよいよ古墳ですよ。

綺麗に整備された古墳。ここは何号墳でしょうか。

古墳ひとつひとつに標示があります。古墳は36基あり、小型のものや円墳など様々。

詳しい説明は各々に案内看板があります。

読んでいると時間はあっという間に経ってしまいます。

夕方来たのですが、ゆっくり読んでいたら日が暮れてきてしまいました。

さて、一際小高い古墳の場所にきました。

雨の宮古墳群で2番目に大きい前方後円墳の2号墳です。

2号墳の上に立つと、素晴らしい景色!中能登町が一望できます。

私は古墳に行くといつも感じるのですが、古墳のある場所は必ず絶景だと思うんです。

重要な人物は、永遠の眠りにつく地として、その土地の一番良い場所を選んでいるのだと思います。

ここから見えている景色の説明があります。

興味深いのは、ちょうど正面に「小田中親王塚・亀塚古墳」があることです。

美しく整備してあります。景色も素晴らしいのですが、古墳そのものがとても美しいと感じます。

この2号墳は未発掘であり、手がはいっていません。約1600年を超えて、当時の古墳の姿のままだということです。

途中、こういった鳥獣被害防止柵があります。

人は自由に出入りできます。ただし、出入りした後は柵をしめることを忘れないようにお願いします。

さて、いよいよ北陸最大級の前方後方墳といわれる1号墳です。

雨の宮古墳群の名称の元となった通称「雨の宮」である「天日陰比咩神社」のお社です。

以前は大きな本殿・拝殿がありましたが現在はこのようなお姿です。

現在は1号墳の前方に位置しています。

斜面に石が積まれています。この墳丘を崩れにくくするために斜面に石を葺いてあるとのこと。1号墳はこのようにして15~16万個の葺石が積まれています。

4世紀から5世紀頃とされる当時、これだけの石はどこから持ってきたのでしょうか?!葺くにも大変な労力があったことと思います。

この古墳は平成4年から発掘調査され、平成6年から当時の姿に再現されたものであるとのことです。

後方に向かって小高くなっており、階段がつけられています。その階段の両サイドに石が置かれているのがわかりますでしょうか?

ちょうど目のように左右1個ずつ置かれています。

「にらみ石」と呼ばれるもので、まるで見張っている目を意味しているような石です。

なんとこの「にらみ石」は真東を向いているそうです。

当時、どうやってこの位置が真東とわかったのでしょうか・・・!

 

階段を登り、後方に向かいます。

後方の一際高くなったこの場所に、2基の埋葬施設が確認されています。

この中にたくさんの副葬品が埋葬されていました。

銅鏡、車輪石、石釧、直刀などなど、その現物は「雨の宮能登王墓の館」に展示されています。

たくさんの立派な副葬品が埋葬されているということは、やはりかなりな権力を持った人物が埋葬されているということです。

棺は木棺で、骨も1600年を経るとすでに土に還っています。副葬品だけが手がかりを伝えてくれています。

1号墳からの景色も素晴らしい眺めです。

1号墳のさらに後方には円墳が見えます。上から見下ろすとその型がよくわかりますね。

こちらは17号墳。直径16m、高さ1.5mで、造りから見るとこの1号墳より先に造られていたようです。

この古墳も未発掘で内部の調査がはいっていません。ですので中は1600年前の姿そのものが残っているとされています。

1号墳後方にはこのような安全な階段が設置されています。

1号墳の周囲を歩き、葺石を見ると壮観です!

あとは林道を通り、出発地点の「雨の宮能登王墓の館」に戻ってきました。

「雨の宮能登王墓の館」の手前には「みたらしの池」があります。

雨乞いの際に献上したのがこのみたらしの池の水だそうです。

写真は夏の終わりに撮ったのですが、濁っています。長く続いた猛暑で雨が降らず、このように濁ってしまったそうです。まとまった雨が降れば流れが出来、澄んだ綺麗な池となるそうですよ。

さすが、規模の大きい古墳がある場所です。格別な存在感でした。

ガイド付きでとても楽しく学ぶことができました。この日ボランティアガイドをしてくださった山森さんに、厚く感謝申し上げます!

ガイドを受けながら速足でめぐってきましたが、1時間はかかりました。もっとゆっくり楽しみたいという方は2時間程度必要かと思います。

ちなみにトイレは、「雨の宮能登王墓の館」や公園内にありますよ。

長い時間ですので、歩き出す前に済ませておくことをおすすめします。

巡った後は、雨の宮古墳群の詳しいことを知ることができる「雨の宮能登王墓の館」にもぜひお立ち寄りくださいね。

【雨の宮古墳群 詳細】

〒929-1604 石川県鹿島郡中能登町西馬場7部12番地

0767-74-2735 ※電話番号はふるさと創修館宛てになります。

 

 


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