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震災を越えて見えた、地域密着の力
2024年元日、能登半島を襲った大地震は、石川県の暮らしを一変させました。
その混乱の中で、地域の人々の食を支え続けたスーパーがあります。
石川県七尾市を拠点に展開する「どんたく」。
取材を通して見えてきたのは、ただのスーパーではない、地域の暮らしに深く根ざした存在でした。
どんたくとは?
「どんたく」は石川県七尾市に本店を構え、能登半島を中心に複数の店舗を展開する地元密着型のスーパーです。

創業以来、地域の食文化や暮らしに寄り添いながら、地元産の野菜や魚介類を積極的に取り扱かったり、高齢者や子育て世代に優しい移動販売車のサービスを行ったり、地域イベントや防災活動への協力を行ったりしながら、地域とともに発展してきた、地元になくてはならないスーパーといえるでしょう。
近年では、大手ドラッグストアやチェーン店が増える中でも、どんたくは根強い人気を保っています。
その理由は、「安心安全な食を通じて、健康・おいしさ・たのしさを提供し、地域の人々の心を豊かにする。」というミッションを掲げていることからも感じられるように、価格競争ではなく、「安心・安全」「地元との絆」を大切にする姿勢にあるのでしょう。
各店舗の被災状況と復旧への道のり
震災によって、どんたくの各店舗は大きな被害を受けました。本来であれば、1月3日が初売りの予定でしたが、能登地区のすべての店舗が新年の営業を延期せざるを得ない状況でした。

それでも、困っている地元の人に必要な商品を提供するため、早々に応急修理や整理を進めて、時短営業ではありましたが七尾市内や中能登町の店舗は次々と営業再開されました。断水の為、お刺身やお肉などは自店で製造出来ず、一部店舗ではトイレも利用できないという状況ではありましたが、飲食物の確保にも困っていた多くの地元民の助けになっていました。2月には、奥能登にある宇出津店も営業が再開され、地元の人はもちろん、ボランティアや復興支援業者の方々にもかなり喜ばれたと思います。
地域によって時間差はありましたが、徐々に断水も解消され、4月には高浜店が営業を再開し、7月にはようやく穴水店も再開し、今回お話を伺った大西忠人事部長も、ここでやっと一息がつけたと話されていました。

その後、本格的な修繕のために、一時的に臨時休業された店舗もありますし、まだ修繕が必要な店舗もあるそうですが、徐々に取扱商品や営業時間も通常の営業に戻りつつあるようです。
断水による困難の中続けた地域支援
震災後、深刻な問題だったのが「断水」だったそうです。
水が使えないことで、衛生管理ができないことから、ミートセンター、総菜センターが稼働せず、お刺身などの生ものは提供を見合わせざるを得ない状況になっていました。
それでも、どんたくは乾物や缶詰、レトルト食品などを中心に、地域の食を支え続けました。
かねてより親交のあった県外のスーパーさんからのフルーツの支援物資を店舗で配布するなどの活動もされていました。


避難所や支援活動を行う団体、復旧作業にあたる地元企業の方々へ、飲食物の提供も積極的に協力されたようで、「どんたくさんのおかげで助かった」という声も聞かれました。
従業員との絆が深まった瞬間
取材の中で、最も印象的だったのが、従業員の方々の姿勢です。
自宅が被災し、避難所生活で様々な不安がある中、それでも店舗に足を運んだスタッフの方々。
「自分の家も大変で、ご家族のことも心配だったと思うけど、それでもほとんどの社員が出社してくれた。みんな、強い使命感を持ってくれていたと思う。」
その当時を思い出し、感慨深く話される大西部長の言葉には、社員のみなさんへの信頼感と感謝の気持ちが込められていました。
震災を機に、従業員同士の絆はより強くなり、一体感が生まれ、店舗は“働く場所”から“支え合う場所”へと変わっていったようです。
200万円の鰤落札に込めた社長の想い
震災から約1年後の12月に金沢港で行われた初競りで、どんたくの代表・山口宗大社長が寒ブリの最高級ブランド「煌(きらめき)」を一本200万円で落札したというニュースが話題になりました。

「話題になることで能登を活気づけたかった」
この山口社長の言葉には、地元への深い愛情が込められていました。
このエピソードから、どんたくが「地域のために動く企業」であることが感じられます。
販路を失った生産者を守る
震災後、どんたくは、一早く「能登マルシェ」を企画し、販路を失った生産者の商品を金沢、野々市の店舗で販売し、地元の味を守る姿勢を打ち出しました。

能登の製造業者さん、生産者さんの中には、商品は作れるけど、店舗が被災したとか、納入先が被災したとかで、売る場所がないという方がかなりいたそうです。その頃は、県内でも、地震の被害の少なかった加賀方面では、能登を応援しようというムードがあったことから、うまく販売ができたそうです。
ここでも、地域の声に耳を傾けながら、地元とともに歩むスーパーとしての役割を果たされていました。
安さよりも、安心・安全を届けるために
先にも、どんたくの人気の理由としてあげましたが、どんたくの良さは、「安さ」ではなく「安心・安全」「健康」へのこだわりです。
そのために、オリジナルブランドの開発にも力を入れられています。
自然の味・美味安心(びみあんしん)
自然の味・美味安心は、どちらも素材の味、自然の良さを追求した石川県ではどんたくしか扱うことの出来ないオリジナルブランドです。

化学調味料・合成着色料・合成香料・合成保存料を使用しない、安全安心な原料で、かつ、産地や味にこだわった素材を厳選し、開発にも時間とコストをかけた、素材本来のおいしさを味わえる商品となっているようです。
ふーでぃ
こちらは、石川の風土で育まれた食材を使ったオリジナルブランドで、
恵まれた風土から育まれた地域食材の良さを伝え、地域の食文化を維持、継承していく事を目指し、作り手とお客様をつなぐ商品開発・開拓を行っているとのことです。

今後もどんな商品が誕生するのか楽しみですね。
これからのどんたくへの期待
今回の取材を通して、どんたくがなぜ多くの人に支持されているのか、その理由がはっきりと見えてきました。
大手チェーンが並ぶ中でも、どんたくが選ばれるのは、地域への深い愛情と、暮らしに寄り添う姿勢があるからだと思いました。
震災を乗り越え、復興へと向かう能登にとって、どんたくは「地域のスーパー」から「地域の未来をともにつくる存在」へと進化しているようにも感じます。
これからも、地元の声に耳を傾けながら、安心・安全な食を届けてくれる―そんなどんたくの姿に、心からの期待を寄せています。


















