かかしの神様「久氐比古(くてひこ)神社」【中能登町】

のとルネアンバサダー、観光担当のっちです。

案山子の神様がいるという噂を聞き、鹿島郡中能登町にある神社を訪ねてきました。

調べてみると、とても興味深い神様が祀られていることがわかりました!

 

久氐比古(くてひこ)神社へのアクセス

国道159号線から久江川に沿った道を山側に入ります。

久江という信号がありますよ。

道に入ってすぐに「道閑公園」という案内石柱が立っており、その道をまっすぐ進むと左手坂道の上に鳥居がみえます。

中能登町久江にある久氐比古神社

久氐比古神社、まずは読みかたですね。

「くてひこ」神社と読みます。

この神社があるところは鹿島郡中能登町の久江(くえ)という場所です。

久江(くえ)は 「崩れる」 と言う意味 があるそうです。

 中能登町には国指定史跡である石動山があり、その麓であるこの地区は地滑りが頻繁に起きたことから久氐比古神社の主祭神である久延毘古(くえびこ)神を祀ったのではないかと言われています。

久江の周囲の山はとても瑞々しい山のようです。すぐそばに久江川もあります。

久江(くえ)に鎮座する久延毘古(くえびこ)神。名前もなんだか似ていますね。

地名があっての神社名なのかと思ったのですが、どうなのでしょう?

そしてなぜ案山子の神社と言われているの?

久氐比古神社の御祭神

御祭神は、久延毘古神、天目一箇神、火産霊神です。

久延毘古神(くえびこのかみ)

古事記に「この神は山田の曽當騰(案山子)のこと足は歩かねど居ながらにして天下のことを知れる神なり」と書かれてあり、博識の神で田や山を司る神なり。                       (石川県神社庁HPより引用)

同じく古事記には、久延毘古神の博識を物語るものとして、下記の内容のエピソードが収められています。

「出雲にいた大国主の元に、海の向こうから小さな神がやって来た。 名前を聞いても本人は答えず、他に誰もこの神の名を知る者もいなかった。 すると、ヒキガエルの多道具久 (たにぐく) が 『久延毘古なら、きっと知っているだろう』 と言うので、 久延毘古に尋ねてみたら、 『その神は神産巣日神 (かみむすひのかみ) の子の少名 毘古那神(すくなひこのかみ) である』と答えた。」

天目一箇神(あめのまひとつのかみ)

古典に「天岩戸に隠られた天照大神をお迎えする祭祀に献奉りし鏡の元鉄を鋳造し自も刀斧鉄鐸を作り献奉りし」と書かれてあり、鉄の器具を造り司る神なり。                       (石川県神社庁HPより引用)

火産霊神(ほむすびのかみ)

軻遇突智命とも称え火を掌り、護り給う神で、この神の恩頼に依り火の禍を避け火を防ぎ鎮めんと祀りし神なり。

                                      (石川県神社庁HPより引用)

久延毘古神(くえびこのかみ)

久氐比古神社の御祭神は3体ありますが、そのうちのひとつ、主祭神である久延毘古神(くえびこのかみ)について調べてみました。

●先の説明の通り、久延毘古神は「物知りの知恵の神」として記されています。

●他にも穀物を護る神でもあることからこの崩れるという意味合いを持つ地区「久江」に鎮座し地滑りが起きないよう守ってほしいと祈られ続けたらしい。

●古事記では「久延毘古とは"山田のそほど"のことである」と説明されています。

「山田のそほど」とは案山子(かかし)の古い名称です。

久延毘古は案山子を神格化したもので、田の神、農業の神、土地の神です。

案山子は田の中に立って一日中じっと世の中を見ていて、この世のことは全て知っているとされるようになったといいます。

●久延毘古の「クエビコ」は「崩え彦」。体が崩れた男を意味します。

雨風にさらされて朽ち果てた案山子を表現したものです。

というように、

調べてみるといろいろな意味合いをもつ久延毘古神。

知恵の神、案山子であり田の神でもある久延毘古神です。

そして、全国でもこの久延毘古神を主祭神としている神社は珍しいようです。

久氐比古神社の沿革

神社の正面にQRコードがあり、読み込むと久氐比古神社の概要をダウンロードできます。

是非行ってみて、読んでみてくださいね。

思った以上に面白い内容で、わかりやすく解説がありますよ!

中に書かれている沿革には、

「石動山開山前に、 当社で剣の舞をしたという伝承がある。奈良時代(8世紀)には存在したことになる。」

とありました。古い歴史を持つ神社です。

久氐比古神社 年間の祭礼

以下は、QRコードより読み込んだものの引用です。

こうした年間行事が記されていると、見に行ってみたいなと思います。

●年間の祭礼(概要より引用)

1月第2日曜日 左義長 (旧久江小学校)

3月第1土曜日 祈年祭(初老厄除 還暦寿祭 当屋御神籤儀式)

4月第2土曜日 春の例祭 (オケラ餅神事)

7月5日 夏の例祭 (茅の輪くぐり)

8月23日 風祭

9月最終土曜日 神幸祭 (秋の例祭)

12月 2日 新嘗祭

12月23日 櫛神社例祭 (大須古祭)

オケラ餅の神事

能登の奇祭とされている久氐比古神社の「オケラ餅の神事」。

4月の第2土曜日に行われます。

「おけら (木)」は、 薬草の一種で、古来から餅に入れて神事に使われています。

しばらくされていなかった神事ですが、平成20 年に70年振りに復活したとのことです。

「おけら餅飾り」 のレプリカは石川県立 歴史博物館に展示紹介されているそうですよ。

今回は神社の概要で読んだのみなのですが、次回の4月にはぜひ見に行ってみようと思います。

親子でかかし作り体験

案山子の神社、ということで、親子でかかし作りのイベントも催されています。

写真は、中能登町在住の辻屋舞子さんからいただきました。

たくさんいただき、ありがとうございます!

境内にたくさんの案山子がいますよ。

愛嬌のある案山子。実は神様なのですね!

今回、久氐比古神社について調べることで案山子が神様であったことや、知恵の神様であることを知り、勉強になりました!

久江の町を見下ろす案山子の神様です。

【久氐比古神社 詳細】

住所:鹿島郡中能登町久江ヘ66

 


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