パトリアが地域支援の拠点に、栄養バランス食の備蓄へ|七尾市

創生ななおさんが市民のための災害支援体制強化を目的に、災害食の備蓄を進めていることをお聞きし取材させていただきました。

 災害食の備蓄に至った経緯

202411日の能登半島地震発災時に津波警報が発令されたことから、七尾市の津波避難指定場所であるパトリアでは、施設内にいた方や、近隣の住民の方など約500人が屋上へ避難しました。警報が解除されるまでの間、屋上で待機し、その後館内で一時避難を行いました。翌12日には、パトリア内のテナントであるニトリ様やドン・キホーテ様の協力を得て、避難者に毛布や食料が配布されました。

その後、地域住民を支援するための民間での支援物資の受け入れ及び配布の拠点として重要な役割を果たしました。この経験から今後の災害に備えるため、一般社団法人最適化栄養食協会様のご協力を得て非常用食糧の備蓄することになったそうです。

 支援物資の受け入れ拠点としての役割

創生ななおさんは発災直後からパトリア4階を、民間団体や一般の方々からの支援物資の受け入れ場所とし、また、被災者の方々への支援物資の供給場所として開放し、「のとルネ」との協力体制を構築し、被災地支援活動を積極的に行いました。

また、1階にある里山里海キッチンでは、一本杉通りの川嶋氏がリーダーとなり、地元飲食店の協力のもと炊き出しを実施。キッチンで作られた温かい食事が、各避難所に届けられました。

この経験を通じ、災害対応の重要性を改めて実感した創生ななおさんは、将来的な備えとして食糧の備蓄が不可欠だと考えたそうです。そして、その第一歩として、日本最適化栄養食協会から寄付を受け、栄養バランスに優れた完全カレーメシや完全ハヤシメシ、MITASEココア味、MITASEキャラメル味、合計9000食を確保しました。

今回、備蓄した製品は、日本最適化栄養食協会の認証を受けたもので、たんぱく質、脂質、炭水化物など、主要な栄養素のバランスが整っているという特徴があるものです。

これらの製品は、津波の被害を想定し備蓄品が被害を受けないよう建物の5階にある倉庫に保管しています。

備えあれば憂いなし

株式会社創生ななお 代表取締役社長 吉田翔様のコメント

「前回の地震で、パトリアが地域住民の皆様にとっていかに重要な場所であるかを改めて認識しました。今回の最適化栄養食導入により、災害発生時における市民の皆様への支援をより確実なものとし、地域社会への貢献に繋げていきたいと考えています。今後は10万食の備蓄を目指し、様々なメーカーや団体と連携してまいります。」

 一般社団法人日本最適化栄養食協会 理事長 伊藤裕様のコメント

「通常の生活でも栄養バランスが整った食事をとるのは大変ですが、被災地での避難生活が長引く中では栄養の偏りが懸念され、被災者の皆様の心身の健康への影響は大きいと思われます。手軽に栄養バランスの整った食事をとることができる最適化栄養食は、現在日常生活に取り入れられ始めております。これを是非被災経験があり支援拠点の役割を果たすパトリア様にご活用いただきたく今回の提供に至りました。」

 のとルネのイベントへもご協力いただきました

12月1日に、のとルネが開催した「災害時の“食”について考える体験会」では、創生ななおさんのご紹介で日本最適化栄養食協会様にご講演いただきました。通常のインスタント食品のように、災害時でも調理がしやすく保存が利くうえに、栄養のバランスがとれていることが認証されている食品についてご説明いただきました。さらには参加者へ完全カレーメシ、MITASEココア味をご提供くださいました。

地域防災訓練の充実化

震災後には、創生ななおさんと御祓地域づくり協議会が連携し防災訓練を実施しました。この訓練には約300人が参加し、地域住民の防災意識向上に寄与しました。次回の訓練では、さらに各地区と連携を図り、実際に災害食を試食するまでの実践的な訓練にするなど、より防災活動を進めていきたいとの事です。

栄養バランス食の重要性と備蓄計画

発災直後には主にパンやおにぎり、水が配布されますが、これらは空腹をしのぐものであり、栄養補給には不十分です。長期間の避難生活を想定した場合、健康を維持するためには栄養バランスを考えた食品が不可欠です。このため、創生ななおさんでは今後10万食の備蓄を目標としています。この数は七尾市の人口約5万人を基準にし、余裕をもって設定されたそうです。

今後の展望

被災地支援の経験を活かし、創生ななお(パトリア)は地域の防災拠点としてさらなる役割を果たすことを目指されています。また、日本最適化栄養食協会だけでなく、各メーカーとも連携を図り、より幅広い支援体制の構築を目指していきたと考えておられます。

災害に備えるだけでなく、地域の安全・安心を支える存在として、創生ななおさんの今後の取り組みに期待したいと思います。


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