合同会社LIFE2018・平野さんが語る、震災から広がった能登とのつながり|中能登町

石川県中能登町出身の平野さんが代表を務める合同会社LIFE2018は、営業代行という仕事を通じて携帯通信業界を中心に人と企業をつなぎ続けてきました。2024年の能登半島地震では、大切なクライアントとの仕事が一時止まってしまうという大きな試練を経験しながらも、そこから新しいつながりが生まれ、地域との関わりはむしろ深くなっていったといいます。今回は、平野さんのこれまでの歩みと、震災を経て感じた変化、そしてこれから挑戦したいことについてお話をうかがいました。 

営業代行という仕事、そのかたち

LIFE2018の主力は、携帯電話大手三社の代理店が運営する携帯電話ショップや、家電量販店内の携帯電話販売コーナーなど、携帯電話を販売する現場に向けた営業代行です。営業代行とは、クライアント企業の店舗にスタッフを配置し、販売や接客、店舗運営までを支援する仕事のこと。人手が足りない、成果が思うように上がらないといった現場の課題に対して、経験を積んだスタッフを送り込み、生産性の向上をめざしているそうです。単に人を送り出すだけでなく、月ごとに目標となる数値を定め、それを達成することでクライアントとの信頼関係を積み重ねていくスタイルです。

そのほかにも、店舗運営や販売業務をまるごと引き受ける業務委託、店頭プロモーションから音楽フェスまで手がけるイベント企画、近年力を入れているAIコンサルティングなど、自社スタッフとパートナー企業が連携しながら事業の幅を広げています。 

平野さんが歩んできた、営業代行という仕事の道

中能登町で育った平野さんは、学生時代は陸上競技に打ち込み、一旦進学で地元を離れましたが地元に戻ってからは、JAで臨時職員として働き始めました。当時の給与だけでは生活が厳しく、休みだった土日にアルバイトを始めることに。それが携帯電話販売の仕事だったことが、今につながる原点となりました。

その後、大阪にある広告・プロモーション関連のアウトソーシング会社に勤め、北陸エリアの統括的な立場を任されるまでに。携帯通信業界における人材のマネジメントや現場運営に携わったこの経験が、独立後の事業の土台になったといいます。フリーランスの期間を経て会社を立ち上げ、今年で8期目を迎えました。

震災当日、そしてその後の苦しい時期

202411日、平野さんは福井県で地震の発生を知りました。連絡がつかないクライアントのこと、そして能登に残るご両親のことを案じ、翌2日には、地震の影響で通行止めとなった箇所を避けながら、迂回路を使って自宅へと向いました。ご両親の無事を確認できたことは、何よりの安心だったそうです。

一方で、ほっとしたのも束の間、平野さんを待っていたのは仕事の面での厳しい現実でした。能登にあった携帯電話ショップの多くは、地震の影響で営業ができなくなってしまったのです。中には、今もなお震災前のような形に戻っていない店舗も少なくないといいます。売り上げも大きく落ち込み、厳しい時期がしばらく続きました。それでも、そうした状況の中で手を差し伸べてくれたクライアントがいたことが、平野さんにとって大きな支えになったのです。「大丈夫か」「できることがあれば仕事を頼むから」という言葉とともに、被害の比較的少なかった志賀町の携帯電話販売店(ドコモショップ)で、店舗の片付けなど、これまでとは違う形の仕事を任されました。

こうした状況をきっかけに、平野さんの仕事のエリアは大きく広がっていきます。もともとは北陸を中心にしていましたが、県外のクライアントとのつながりが生まれたことで、今では全国からの依頼にも対応できる体制を整えているそうです。 

能登で新しく始まった仕事

震災後、平野さんの会社はのとピットと呼ばれる復興支援ポータルサイトの登録説明会にも携わるようになりました。のとピットは、石川県とデジタル庁が中心となり、複数の企業の協力を得て立ち上げた、能登の復興を後押しするためのポータルサイトです。平野さんの会社は、その普及を目的とした説明会の運営を各地で担いました。説明会では、珠洲や門前、穴水など能登各地のお祭りや仮設住宅をまわり、住民一人ひとりに直接説明する機会も多くあったそうです。

こうした復興関連の仕事に加えて、志賀町などで導入されたAIバスの運営サポートにも携わることに。決まった時刻に走るのではなく、利用したい時間に予約すると運行される、新しい交通手段です。平野さんの会社は、この仕組みを住民に知ってもらうための説明会の開催も担当しました。こうした仕事を通じて、能登に根ざした業務の幅は少しずつ広がっていったといいます。 

能登を巡って見えた魅力

のとピットAIバスの説明会で能登各地をまわる中で、平野さんはこれまで知らなかった能登の魅力にたくさん出会うことができたといいます。震災前は携帯業界の仕事にほぼ限られていた平野さんにとって、こうした経験は能登という土地そのものへの理解を深める機会にもなりました。「能登にこんな場所があったんだ」という発見の連続だったと振り返ります。

そんな平野さんに、「もし能登でビジネスを考えるなら」と尋ねてみると、挙げてくれたのが観光でした。今もなお残る被災した道路や建物を無理に元通りにするのではなく、あえてそのままの姿を残し、震災を伝える語り部と組み合わせることで、能登巡りの一部として観光資源にできるのではないか。そんなアイデアを聞かせてくれました。農業とあわせて、観光は能登にとって大きな資源になるはずだ、というのが平野さんの考えです。

これから挑戦したいこと、AIと人が共に働く未来

現在、平野さんが力を入れているのが、人材派遣のライセンス取得と、AIを活用できる人材の育成です。研修プログラムを整え、認定を受けたスタッフをアナログな体制の企業に派遣することで、現場の改善を後押ししたいと考えているそうです。AIか人かではなく、AIと人がそれぞれの得意分野を生かしながら共存していくことが、これからの営業代行の形だと平野さんは話します。

さらに、地域の情報を集約するメディアづくりや、高校生が地元企業と出会える機会をつくる取り組みにも意欲的です。進学を前提としない高校生にとって、限られた求人票の中から進路を選ぶのではなく、地元にどんな企業があるかを知った上で選択できる環境を整えたい、という想いがあるといいます。能登にも、実は魅力的な企業がたくさんあることを、もっと多くの人に知ってもらいたいと語ってくれました。 

能登への想い

平野さんは、能登への深い思い入れを、多くの言葉で語るタイプではありませんでした。それでも、地元・能登で事業を続け、税金を納め、地元出身の人材を積極的に採用していく姿勢の中には、能登への確かな向き合い方が感じられます。「能登の人はいい人が多い」という言葉には、日々多くの人と関わってきたからこその実感がこもっているようでした。 

震災という大きな試練を経てもなお、目の前の仕事に真摯に向き合い続ける平野さんの姿勢は、地域で働く多くの人にとって励みになるのではないでしょうか。AIと人が共存する未来、そして能登の若い世代が地元で活躍できる社会を目指すその挑戦に、これからも注目していきたいと思います。 

合同会社LIFE2018 企業詳細

代表社員 平野 雅和

本社 石川県鹿島郡中能登町110番地

TEL 0767-72-2759

営業時間 平日 9:0018:00(土日祝休)

石川オフィス 石川県河北郡津幡町庄 へ72-3

横浜オフィス 神奈川県横浜市西区浅間町1丁目43号 ウィザードビル402

公式HP:https://life-2018.co.jp/


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